一言進言

NGO活動に敬服の念を。

~有馬実成住職を思い出す~

アフガニスタンで中村哲医師が射殺された事件は世界中が悲しんだ。NGO活動でどれだけの活動をしてきたのか、うわべぐらいしか知らないが、アフガンの人々の嘆きようを見ると、偉大な人だったのだと感動した。引っ込み思案な日本人らしからぬ日本人だったのだろう。


同じくNGOで思い出したのは、ここ周南市櫛ケ浜の原江寺住職だった有馬実成さんだ。1980年代には既に東南アジア、特にタイやカンボジアの難民支援活動に乗り出し、衣服を集めて送ったり、現地の言葉に訳した絵本を贈ったり、実に多様な支援活動を展開していた。当時「NGOの有馬」と言われていた。


25年前の阪神淡路大震災の時には、真っ先に現地に入ってボランティアの先頭で活躍し、震災現場で知らない人はいないと言われていた。話は聞いていたが、実際、有馬住職のすごさを実感したことがある。


有馬住職が亡くなってしばらくしてだが、わが社は当時長野県知事だった田中康夫さんを招いて講演会を開催した。時の人で大層忙しくしていた御仁だけに、東京まで出向き、電車の中で口説いた思い出のある講演会開催だった。こんな名もない小新聞の願いをよくぞ聞いてくれたと感激したものだ。


その理由の一端が分かったのは、田中康夫さんが徳山入りしてからだ。彼は阪神淡路大震災で初めてボランティア活動に参加したそうだ。その時リーダーとしてボランティア集団を率いていたのが有馬実成住職だった。温かく、優しく、抜群の決断力に圧倒されたという。


有馬住職を恩師と慕う田中さんの願いで、講演の翌日、原江寺に有馬住職の墓参りに出向いた。有馬住職との出会いが彼の人生を大きく変えたのかもしれない。小説家として脚光を浴びていたのが、政治の世界で破天荒と言われる存在になった。ちなみにNHKの「ニュース9」のキャスター・有馬嘉男さんは有馬住職の長男だ。


世界中に困窮している人々がいる。その人たちへ手を差し伸べ、少しでもましな生活と活動するNGO活動家たちにもっと理解が必要だ。ここ周南ではベトナムに401台もの車いすを贈り続けているNPO国際ボランティアIMAYAの理事長の岩本功医師もその一人だ。新興国の発展に寄せる熱く優しい思いには頭が下がる。

(中島 

AIは人間を幸せにするのか?

~感性が大事な世界へ~

年明けの新聞などの特集に必ず登場するのがAI(人工知能)時代の到来だ。何もかも便利になることが最優先時代だ。車の自動運転から始まり、婚活までがAIで決める時代になった。そのため多くの企業が希望退職者を募り、中高年社員のリストラを始めているという。AIが理解できる若者を高額で採用するためだという。

25年前、携帯電話が出始めたころ、かかってきた相手に「おう!ようここにおるのがわかったの」と応えている仲間に、一同大笑いしたのは大昔の話のようだ。そのうちスマホが登場、電話と言えない機能が満載で、パソコンを持ち歩くことと同じ状態になった。

確かに企業は将来的にも収益を上げることが一番の目的だ。AIの波に乗り遅れることがあってはならない。だが、そこに人間の感性を求めない企業は本当に楽しいのか。便利さだけを追求する世界は本当に人間を幸せにできるのか。遺伝子操作で食べ物を作ることが素晴らしいことなのか。

カフェでカップルが、目の前の相手とラインなどで会話しているのを見て、楽しさを共感できないのは、アナログ世代の悲哀なのか。確かに機械は発達するが、人間力は同時に発達するとは思えない。家に帰って「テレビ」と言えばテレビが点く、何もかも自動だ。ニュースだって勝手にスマホに入ってくる。家の明かりもたまには暗くしたいときもある。

「日刊新周南」のような小新聞は、アナログ世界が主流だ。パソコンで編集しているが、取材は全て人間が出向いてする。取材先の選定も感性の赴くとこで決まる。もちろん記事も記者の感性が大きく左右する。配達も人間の足でしかできない。配達する人も人の子、たまに入れ忘れたりする。お叱りを受けて購読中止になったりもする。

孫が載っていたとおじいちゃんが新聞をと来社する。行政、政治のここがおかしいと指摘する。そのうち是正され市民が喜ぶ。感性だけが頼りの新聞づくりは楽しみ方が違う。AIでは味わえない世界がある。手間ひまが膨大にかかり、儲かることがない仕事だが、アナログ世界は不滅だ。


(中島 進)

新年あけましておめでとうございます

~ささやかな初夢を~

さて今年はどんな年になるのか、様々な評論家などが予想をする。バブル全盛期のころ、ほとんどの経済評論家が、もっともっと株は値上がり続けると語っていた。一部の人が警告を発していたが、バブル崩壊を予想する専門家はきわめて少数派だった。想定外が当たり前のように使われだした。

災害の多くは想定外の規模で起こるようになった。防災にここまで力を入れるようになったのは極く最近だ。だんだん人々の中に想定内の意識が強まった。南海トラフなど、数十年以内に必ず起こると予想も出ている。想定できる規模も大きくなった。

地方自治体の人口減少や、高齢化率の上昇は想定内だ。しかも30年前から想定できたはずだ。国は少子化対策の大臣を作ったり、地方創生担当大臣を置いてきたが、その効果が見られることは無かった。本気でなかった。国家の一大事だとの認識もなかった。つけ焼き刃的な対策で目をそらしてきた。

しかし、全国の市町村の中には人口を増やし、出生率を上昇させている自治体が、少しだがあるのも事実だ。そこには工夫と、リーダーの確固たる信念が見える。金太郎飴的な施策では流れを変えることはできない。日本人的な横並び主義の弊害は、こんな時代には特に衰退を加速させる。

所得制限を緩和して、若者夫婦が生活できる公営住宅を増やす。そこには必ず車2台が駐車できる。人手不足も深刻だ。夫婦共働きができやすいように、保育園を待機児童ゼロまで充実させる。移住する若者には気軽に引っ越しできるように助成金制度を設ける。医療費はせめて中学校卒業までは無料とする。この程度で成功している自治体がある。

若者一人がこの地で働き生活してくれると、生涯で所得税をはじめガソリン税、消費税なども含めると5千万円近くは税収として入ってくる。少々の投資など確実に回収できる計算だ。商業も潤うし、企業も生産があがり法人税も増加する。地域経済の振興に役立つこと確実だ。これは想定内だ。

私の初夢は周南地区どこに住んでも、前記した内容の生活ができることだ。保育園は3市どこでも利用できるようになって。職場か自宅の近くか、自由に選べるようになったら素晴らしい。正月に公園に行ったら子ども2人しか遊んでいなかった。

(中島 進)

今年1年ありがとうございました

~常に変化する周南地区を願う~

「令」が今年の漢字なら「新」がわが社の漢字だろう。高齢化社会に突入して、65歳以上が成人の半分以上になった。AIとか何とかで、世界は総デジタル化を目指している。しかしシニア世代はアナログの中で育ち、老いてきた。情報過疎化がどんどん進んできた。行政情報も、店舗情報もみんなホームページ見てくださいとなった。


今年7月、わが社のスタッフと外部のスタッフが集まりR70プロジェクトを立ち上げた。そして9月末、「R70」をついに創刊した。多くの地元企業、大手企業からの支援も受けた。全国でも珍しいシニア世代向けのフリーペーパーだ。財政も緊迫、地方自治体も高齢者に今までのような対応はできない。お金で助けるのが難しい。「R70」をもって、情報でシニア世代を応援することにした。


この新たな企画に、行政も、警察も、医師会も、社会福祉協議会も、老人クラブも賛同し、実に多彩な情報をペーパーで届けることが可能になった。近鉄松下百貨店が無くなり、シニア世代が街中を歩くことがめっきり減った。街中のイベントも若者対象が多かったが、これからは一部シニア世代向けも投入できることになった。


もう一つ新しい出来事は、周南市長が新しくなった。藤井律子市長誕生で変化が生まれる可能性が出てきた。望むべきことは行政の体質を変えてくれることだ。合併によっていびつな人事が16年間続いた。副市長はほとんど旧新南陽市出身者が占め、幹部は全てと言っていいぐらい旧新南陽市組が握った。長く地方自治を取材してきた身からは、確かに弊害が加速度的に発生した感はいなめない。


副市長も県職員出身で、しがらみが無い。新しい風が吹くことは間違いない。周南地区で最も大規模な組織の周南市だけに、一挙に変えることは難しいが、仕事ができ、頭がシャープな人物が管理職につく、当たり前のシステムになれば、職員の意識も変わるだろう。


令和元年も終わる。平成の30年間で最も変化したのが下松市だった。地域格差は顕著だが、人口を増やした変化はあっぱれだった。しかし、周南地区で言えば、毎年1,500人もの人口減であえいでいる。常に変化し続けることが大事だ。これからの30年間で、周南3市が画期的な連携を組み、周南地区で働きたい、生活したい市民を増やすために大胆な改革ができれば、と願うばかりだ。合併騒動から16年。2万人を超える市民が消滅した。特に若者が。


今年1年、「日刊新周南」ご愛読ありがとうございました。私たちも常に変化して、生活に必要な情報を提供し続けます。よろしくお願いいたします。

(中島 

シティープロモーションより先に

~実情をしっかり把握せよ~

シティープロモーションが大流行(はや)りだ。全国の自治体が「シティープロモーションを」と言い出した。中身を聞くと、もともと各自治体が取り組んできたことをカタカナに言い換えただけで、別に目新しいことではない。誇りが持てるわが町を、もっと認知度を上げることが大切だ、などを「シビックプライド」「シティープロモーション」と言っている。カッコよさを狙ったのか。

周南市は前市長時代に「しゅうニャン市」キャンペーンで大金を投じた。しかし市民の間で賛成派と、市の誇りを馬鹿にしたとの反対派に分かれてしまった。この時点で「シビックプライド」を語れなくなった。専門家によれば「シビックプライド」はシティープロモーションの欠かせない大切な要素だ。

下松市も光市も負けじとシティープロモーションに取り組んでいる。光市は「おっぱい宣言」で愛情いっぱいの子育ての大切さを訴えたり、市民ぐるみのウエディングで街を盛り上げた。下松市は日立の英国向け車両を日中に公開出荷して3万5千人もの見物客が訪れ、ものづくりの市として全国的に名を広めた。

皮肉にも周南市は野犬がのさばっている街として有名になった。民放各局が取り上げて、全国版になって、猫のように自由に歩ける街として展開した「しゅうニャン市」キャンペーンは、今春の市長選と共に消滅した。しかし、周南市の認知度は上がった。テレビの持つ力を改めて思い知らされた。逆に、上手なパブリシティの使い方で、シティープロモーションできることも示された。

地方都市の課題は明白で、若者定住と少子化対策だ。そのためのシティープロモーションはどうあるべきか考えることだ。1歳になる子どもを抱えた人から嘆きの声が届いた。新南陽地区だが、職場復帰しようにも保育園はすでに8人待ちで入所できる可能性は薄いという。たちまち生活に困窮すると訴える。これでは若者にふるさとに帰れと言えない。窓口職員のつれなさも怒りの対象だ。

待機児童ゼロと言うのはどこの根拠から言えるのか。庁舎の豪華さを競うより、目の前の子育てに悩む若者を救うことが先決だ。熊毛地区の保育園では雨漏りが激しく、父母の悩みは大きい。誇りの持てる故郷にすることが肝要だ。それが「シビックプライド」を育む。働くこともままならない現実に行政の壁は厚すぎる。先ずは実情をしっかり把握することだ。シティープロモーションはそれからだ。


(中島進)

突如「花の乱」

~「驕(おご)る平氏久しからず」を忘れないように~

「桜を見る会」がえらく問題になっている。政策の失敗より重大なようだ。ワイドショー的な話題で、テレビも新聞もノリにノっている。行った人によるとあまりにも人が多くて、芸能人を探しては記念写真を撮ったと話していた。

お祭り騒ぎで、有名人に会えるということで人気があるそうだ。吉田茂首相時代からの行事だそうだが、当時は品格がある大人の集まりだっただろう。名目は各界で功労があった人たちを、時の首相が招待して慰労し、感謝を示すことだった。

それが田舎のおばちゃんやおじさんを集めて、いわばお上りさんの大集合の会になったようだ。招待状を配った議員は、有名人に会わせてくれたと感謝され、次の選挙では、多少の戦力になってくれるに違いない。

実にのどかな景色だ。首相をはじめ、国民みんなが平和ボケして、写真を見るとひとり残らず良い笑顔をしている。こんなことが国を挙げての大事になること自体、平和ないい国かも知れない。香港や韓国の荒れ様を見ると月とスッポンだ。

それにしても藤井律子周南市長まで引き合いに出されて、取り上げられ、いい迷惑だ。昨年の見る会に招待されたそうだが、当時は自民党山口県連の副会長で、県連唯一の女性県議。党県連の総務会長までやった人だ。おばちゃんやおじさんの招待とはちょっと違う感じだ。芸能人も出た出ないで話題になっている。ほんとにいい迷惑だ。

「驕る平氏久しからず」、令和になって「驕る安倍首相久しからず」にならないといいが、ちょっと調子に乗りすぎた感はある。この会を段取りした人たちが軽い。取り巻きが軽いのだろう。安倍首相の人気の高さに有頂天になっているのだろう。あくまで税金を使っていることをしっかり意識しないと、三流国家になり下がる。

いっそ野党の国会議員たちもみんな招待すればよかった。国を挙げての桜を見る会にすればよいのだ。桜の花の下、国民上げて平和な日本を確認しあい、日本の良さを見直そうと叫べば良かった。それなら首相だから、少しぐらいは招待客数の割合を増やしても文句は出ないだろう。「花の乱」はしばらく続きそうだ。

(中島

山間の町に年間90万人が訪れる

~A級グルメの町を創る~

周南市長穂の旧翔北中に年間1千万円、4年間で4千万円を援助、使ってない校舎などの管理を名目にデザイン会社を誘致した。実態はひどいものだった。ほとんどそこで働く人を見ることもなく、最近では校庭は草ぼうぼうだと聞いた。あげくに年間1千万円もの補助金を出しているその会社に、長く地元で活動している会社と競わせて、市広報のデザインを委託した。

クリエィティブな地域が掛け声の事業だったが、担当者にそれを理解する人がいなかったのか、淡々と事業は進められた。4年が過ぎようとしているが、残ったのは古くなった校舎だけに終わりそうだ。若い人が少なくなった地区の草刈りを手伝う社員はほとんど現れなかった。

島根県の山間地域に位置する邑智郡邑南(おおなん)町の町役場に務める寺本英仁さんが、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げられたことがある。「AJIKURA」というレストランを成功させ、その後次々と町内にレストランが出店、今や人口1万人の町に、年間90万人が訪れるという。

寺本さんはまず町の特産品を東京で売ろうと試みた。デパートなどへの売り込みに奔走するが、全国の市町村がそうであるように、売り上げとかけた経費が同じと、悲惨な現実を見た。そこで、売り込みに行くより、町に来てもらう発想に切り替えた。レストラン「AJIKURA」は一流のシェフを雇用して、町内産の食材を使って料理を提供、瞬く間に有名店になった。そこに「地域おこし協力隊」などの国の補助金制度をうまく使って、町からの持ち出しを極力抑えた工夫が面白い。

結局、何年か後には、減価償却費を払ってもらって民間に譲渡したが、最初町内に20店舗しかなかったのに、訪れる人が増えてきたことで、40店舗を超えたそうだ。その他「食の学校」「農の学校」など人を育てる仕組みを巧みに作るなど、寺本さんの工夫と努力はまだ続いている。

A級グルメの町として有名になった邑南町に一度行ってみたいが、一人の行政マンが、反省とチャレンジを繰り返した結果、町に変化をもたらした。行政組織の固苦しさは知られているが、やる気のある行政マンに権限と寛大さを与えた町長はじめ行政幹部の英断は、どこから生まれたのだろうか。周南地区でもまだまだいろいろな試みはできる。旧翔北中のような失敗はもうなしだ。(中島 進)

被災者の生の声を聞いてみたら?

~体験者しか恐怖はわからない~

いは忘れたころやって来ると思いきや、忘れる間もなくやって来た。昨年は西日本大豪雨、今回は千葉県中心に襲った台風15号が後遺症を残したまま、19号で東北一帯が大惨事になった。九州は熊本地震に始まりいたるところが被害を受けた。枚挙に困らないほど全国で痛い目にあった。自然の猛威に日本列島は疲れ切っている。
水温度が上昇し、水蒸気が空にたまり、一気に雨となって降り注ぐ。わかりきった話だが、世界が一致して温暖化対策に取り組むことにならない。米国のトランプ大統領に遠慮してか、日本もそのグループに属さない。温暖化対策を最重点にするのではなく、まだ原発に望みを残しているようだ。中国など10億人をはるかに超える人々が車に乗り出し、地球上の排気ガスはうなぎ上りに増えている。確かに日本だけが頑張っても地球はきれいにならない。
間の営みが、この大災害の大きな原因とすれば、輪廻転生と言うべきなのか。世界中の異常気象は止まることを知らない。便利さとお金に目がくらんだ人間の所業は、自然への挑戦状だった。応えて自然は闘いを挑んできた。勝てるわけがない戦いに挑戦している。堤防を高くしたり、地下にとてつもない排水路を作ったり。
と昔前、日本列島は公害で揺れていた。光化学スモッグ情報が連日話題になった。水俣病が引き金になって、公害は社会悪として認知された。地球温暖化は目に見えにくかったが、災害で初めて体験することになった。地球規模だけに厄介だ。夏の猛暑だけでは意識が高まらない。未だに温暖化は問題ないと言う国家があるから、余計厄介だ。社会悪に認定されるまで、この現象はひどくなるばかりだ。
ゃあどうすれば良いのか。仕事を終えて車で帰宅途中の妻は、必死で夫に助けを求めるが、濁流にのみこまれた車に近づくこともできない。「もう危ないから来ないで」を最後に妻は流されていった。かって経験したことがないことには人間は無力だ。戦争の語り部のように、罹災した人たちの経験談を聞くことでしか、我がことのように災害を受け止めないだろう。
ザードマップももちろん大切だが、これだけの災害を経験した人がいるのだから、その恐ろしさを伝える語り部を呼ぶことだ。生の声を聞くことで、わしらは大丈夫だ、と安全を疑わない多くの人たちの意識を変えることだ。「命を守る行動をしてください」懸命に呼びかけるアナウンサーの声に反応しない人がいかに多かったか。生の声を聞いたことがないからでは。(中島進)

消費税にも無関心?

~1億総ミーハー時代に~

「山が動いた」―社会党の土井たか子委員長は胸を張った。売上税導入をめぐり、社会党が一気に議席を伸ばし、参院選で自民党が過半数を割り、与野党逆転になった。国民は怒り、自民党にお灸をすえた。平成元年のことだった。あれから30年余りが経ち、国民は消費税で怒ることはなくなった。不祥事は後を絶たないが、怒ることはなくなった。
貧富の差が激しくなったとマスコミは書き立てるが、怒りの声が大きくなることがない。派遣が広がり、フードバンクが登場するなど低所得者は急増しているはずだが、怒りの矛先は政府に向かない。若者はいまの生活に満足しているとのアンケート結果もある。
だからか、あらゆる選挙の投票率が激減している。怒らない日本人は、現状で満足しているのか。国政選挙のみならず、地方選挙も投票者が少なくなった。関電の3億5千万円ものお金の還流事件にも無関心なんだろう。高い電気代を払っているのに、その一部が関電の偉い人たちに渡されていたが、怒る国民は少数なんだろう。
その結果、ざっとだが、最近は有権者の4分の1の人に選ばれた人たちが国会議員になり、県知事になり、市長になる。国や地方の最高権力者たちが、だ。前から1億総ミーハーになったか、と書いているが、大げさすぎるが歯がゆい状況に変わりない。
消費税増税で、巷は大混乱だ。カード決済すれば5パーセント戻るとか、お店によっては2パーセントだけがあったりでわけがわからない。確かなのはやたらレシートが長くなったことか。買ったものを店内で食べると10パーセントとか、従来の生活パターンでは理解できなくなった。試しにpaypayで買い物してみたが、店員さんも戸惑い、返金やら何やかんやで、1時間ぐらい騒動した。
でも国民は怒らない。お年寄りは鼻からカード決済をあきらめている、こんな複雑で小手先のサービスを振り回す政府になぜ怒らない。いつの間にか介護保険料も上がった。現場の介護士の待遇は改善されたのか。一体国の外郭団体はどれだけあって、どのくらいお金を使っているのだろうか。無駄はないのか。
長いこと地方紙を作ってきたが、こんなに地域に関心を持つ人が激減した現象は想定外だ。政治にも、行政にも興味を持たない。公務員そのものが、地域に関心を持たなくなってきた。淡々と目の前の仕事をさばくだけの行政マンがこんなに増えることも想定外だ。ラグビーワールドカップであれだけ熱狂できる日本人が、政治や地域には冷めきっている。やっぱり1億総ミーハーか?。(中島 進)

どうなる再開発

~地域一体で盛り上がれるか?~

周南市の中心市街地を元気にするため何が必要か。ずいぶん前から色々な場所で、様々な人たちが語ってきた。実際町が元気になったと実感できることはなかった。町中イベントもずいぶん増えた。マルシェなど多くの人たちの力で人を集めた。駅ビルもイベントを開催するたびに多くの人を集めた。だが、何もない土日の町中は、どんどん閑散としている。

若者は遊ぶところがないと言い、シニア世代は買い物するところがないと嘆く。近鉄松下百貨店がなくなって、シニア世代は町に出る用事が無くなった。北海道展などの催しがあると、多くのシニア世代が町に出た。もちろん県内の商店街は悲惨な状況だ。下関のシーモールも大改修、新たなスタートを切ったが、関係者に聞くと大変そうだ。H&Mも出店しているが、なんと家賃無料だそうだ。

全国の商店街復活の成功例は数少ない。物販は特に難しい。通販だけでなく、ネット社会が浸透、小売店の苦戦は著しい。成功例の多くが食べ物系だ。美味しいお店が立ち並ぶと消費者も集まる。ここ旧徳山市でも、テアトル18番街の洋食屋「アラスカ」やうどんの「くうかい」などは連日行列が絶えない。

高い駐車料金を払ってまで商店街に出向くには、相当の理由が必要な時代だ。町を歩いて楽しくさせるのは至難の業だ。旧態以前の商店を見に歩く人は少数になった。ネットでも手に入らないような品ぞろえが要求されている。パンマルシェなどが人気なのは、そういうことだろう。

そんな中、徳山駅前で再開発が進んでいる。それはとても良いことだが、これで失敗して「やっぱり町はだめだ」「やっぱり周南市はだめだ」と市民が感じたら、周南市に帰る若者もいなくなる。そうとうな緻密な戦略が要求されている。既存の商店街はどう取り組むのか、地域一体となって盛り返す動きになるのか。高い駐車料金を払ってまで出て行こうとなるのか。

問題は商業施設の運営だろう。果たして市民が喜ぶ店舗がどれだけ出店するのか。まだまだ白紙の状態だが、大手資本による再開発でないだけに、担当者の苦悩は計り知れない。35億円もの血税が投入されるだけに、市民の目も厳しいだろう。多くの知恵を借り、市民の絶大な協力を得ることも大事だ。再開発に踏み切った勇気はすごいが、背負うものも重い。商店街の今後を決める大事業だ。(中島 進)

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