一言進言

ザ・グラマシー問題に注目

~平穏な1年に思うこと~
今年も残りわずかになった。周南地区の重大ニュースがいつもテーマになるが、人それぞれで受け止め方も違う。下松市民はやはり新市長誕生、というか井川市長引退が大きなニュースだったろう。そのほかには大きな動きのない1年だった。コンビナート各企業に依存する周南地区だが、それぞれ大小あっても、存続を左右するような話もなかった。強いて言えば㈱トクヤマが本社機能を周南市に持ってきたことぐらいだ。
商業で言えば、ゆめタウン徳山やイオンタウン周南久米がオープン、下松や既存スーパーなどに影響が出ているが、しょせん決まったパイの中での客の奪い合いで、ますます地元商店の疲弊が加速していることが心配だ。大型資本による出店が相次ぎ、地域の個店廃業は加速するばかりだ。
ここ、周南地区に限らず、全国共通の悩みだが、これと言った妙案もないまま、地方商業の衰退に歯止めが利かない。それにしても。イオンタウンオープンのテープカットまで木村市長が出席していたのは驚いた。郊外大型店出店が地域に経済効果を生むとは思えない。
言い換えれば平穏な1年だった印象だが、周南市は終盤、ホテル、ザ・グラマシーのバンケット(宴会)部門閉鎖が明らかになり、にわかに暗雲が漂った。域外から人を呼ぶ中心地最大の施設がなくなる。新幹線ののぞみが停まる駅を持つ町で、域外から集客できないのは、街の機能としては最悪のシナリオだ。大企業の力で何とか延命してきた周南地区だが、企業にしても、宿泊、会議もできない街では影響がないとは言えまい。来年以降の大きな課題だ。
光市は、市川市長再選で堅実な市政運営が続くだろう。病院問題も整理がつき、ハード面よりソフト事業が注目される。ボーイスカウト魂で職員の意識改革を大胆に実行に移してほしいところだ。若手職員に地域に密着せよと号令を掛けたが、具体的な成功例を形にする段階だ。期待値が高い。
国井下松新市長は助走運転中だが、カリスマ的だった前市長の後だけにやりにくさもあるだろう。独自色をどう出すか、来年以降が楽しみだ。学校給食への異物混入が相次ぎ、市長ボーナス支給額を誤ったり、市議会本会議開会後も傍聴席の解錠を忘れるなど職員のたるみが見られただけに、厳しい市政運営が特に求められよう。
全体的に停滞感が一層強い感じがしてならない。全国平均と同じように高齢化が着実に進み、労働人口が急激に不足、会う人ごとに人手不足の話だった。下松市は人口が微増しているが、人口減に歯止めがかからない。防府市などは企業ガイドブックなどを作成、若者定住に力を入れているが、周南地区はどうも本気度が伝わらない。子どもが増えることが将来に希望を持つ最大の要点だ。(中島 進)

集えない中心市街地に

~周南市で「四季の会」終焉~
33年間、周南市で春夏秋冬の年4回、料理を楽しみ、語り合う交流の場となってきた「四季の会」が終焉を迎えた。多い時は百人を超える人が集った。小川亮元市長はじめ各界、各層の人が集まった。丸福ホテル時代からの会だ。ザ・グラマシーが来年1月末で宴会部門を閉鎖するため、今回が最後の会になった。
徳山に帰ってきた当初、誘われて何度も出席した。故近間忠一県議会議員なども健在で、地域の人との貴重な出会いの場になった。当時は出席者の中では若い部類だったが、33年経って、最後の会でも当時から顔を見ていた人たちも見受けられた。I氏、H氏、K氏などなど、いずれも70歳をはるかに超えた年齢になっている。
昭和21年、丸福食堂としてスタートしたザ・グラマシーは、70年という大きな節目で終わりを迎える。丸福旅館、丸福ホテル、アド・ホックホテル丸福、ザ・グラマシーと名前を変えたが、皇族もお泊めできる、周南唯一のホテルだった。70年間、多くの会合、パーティーが開かれた。
高村坂彦市長時代、新幹線駅を街中に作った大きな功績を背景に、県外はもちろん、外国からの客人など、ザ・グラマシーが果たした役割は大きい。街中に都市型ホテルがあることで、どれだけ旧徳山市街地の飲食店が潤ったことか。多くの組織、団体も地域、県、中国地区、全国単位での会合を引き受けることができた。地域経済に計り知れない波及効果を生み出した。
50人、100人以上の同窓会、忘年会など、私的な会合や企業の行事も中心市街地で開かれなくなる。山口市では2,000人規模のコンベンションホール建設が計画されている。周南市はTSUTAYAなどのカルチュア・コンビニエンス・クラブ運営の図書館で対抗する。目的も、結果も違う施設になる。スターバックスに多くの人が集うだろう。しかし、交流の場としての機能はない。感覚の違いと言えばそれまでだ。コンベンションシティー宣言は幻になった。
徳山地区は市民館もなくなった。小ホール復活をと16,000人もの署名も集まったが、市長は新南陽の学び・交流プラザを使えばいいとそっけない。人が集うのに便利さとか、使い勝手は重要な要素だ。新幹線が停まる駅を持つ優位さをどこで発揮できるか。「イクボス宣言」した周南市の力量が問われる事態だ。家庭を大事にするだけでは、地域の元気さは取り戻せない。(中島 進)

混沌とした世界に突入

トランプ大統領誕生でどう変わる
最近のニュースを見ると何となく暗くなる。世界中がそうだ。イギリスはEUから離脱を決めるし、ドイツもフランスも排他的な極右政党が勢力を伸ばしている。世界がグローバル化する一方で、他国民を排斥する運動が、白人たちの間で大流行だ。連日、大企業の多国籍化がニュースで流れるが、移民排斥が主流の欧米諸国になっている。挙げ句に米国はトランプ氏が次期大統領に選ばれた。「汝隣人を愛せよ」と説いたキリストの教えもどこ吹く風。世界はどこに向かうのだろう。
TPP(環太平洋連携協定)など絶対反対と豪語した候補者が大統領になり、日本の国会論議は茶番劇の様相だ。保守的と言うか、自国主義と言うか、グローバル化の正反対の道を世界中が突き進んでいるとしか思えない。冷静に物事を見つめる知性、理性はどこに消えたのか。損か得か、判断基準は大きく変化してきた。
日本でも確実に変化してきた。自治会から連絡網の名簿が消え、隣近所とのつきあいを拒否する流れは顕著だ。地域のことなど関係なく、我が家だけ良ければすべて良しの風潮は止まらない。その延長線上に企業、国家観も変化する一方だ。多くの企業が合併、買収を繰り返し、企業風土なんかそっちのけだ。何を守るために会社を立ち上げ、そして継続してきたのか。寡占化が進む流通業界など最たるものだ。
沖縄・石垣島の街の風景も、ここ、周南の街の風景も変わらなくなった。どこにもイオングループが出店し、全国チェーンのドラッグストアが軒を並べ、以前からあった街のスーパーマーケットも薬屋さんも多くは姿を消した。金持ちがより金持ちになり、貧乏人がより貧乏になる。確かにこんな経済のあり方は間違っている。グローバルな時代に対応すると称して、大店法を改正したり、大企業に有利な施策ばかり取り込んできた。
アメリカはそんな世界に、全く違った思考でノーを突きつけた。原因は他国企業、他国民のせいだと思い込んでいる。底にある人種差別観も大いに働いて、トランプ大統領を生んだ。我が国は個人主義がはびこる中、日本国を守るためとの大義名分に傾倒する流れだ。矛盾を内蔵したままの流れは無理がある。
要するに、うわべの強い言葉に酔い、自分だけは救われると信じるミーハーたちが国を左右している。個人主義とグローバル化の矛盾はうまく収まりを見つけられない。ここ周南でも、トップが外国人になった途端、地域とのつながりを無視するような企業体質になりつつある企業も出てきた。人とのつながりを何よりも大切にしてきた日本らしさは、欧米諸国の影響で消える運命かも知れない。トランプ大統領誕生は拍車をかけるのだろうか。(中島 進)

光市議選も投票率下落

光市議選も投票率下落~政務活動費をもっと有効に~
30数年間、地方政治を見つめてきて、一番残念なのは投票率の低下だ。市議会議員選挙で50%台というのはどう考えても納得いかない。50%を切ることさえある。不満がないから投票に行かないなら許せる。だが、そうではなさそうだ。生活に直結した問題は、政治では解決しないとあきらめているのだ。日本全体の現象で、国の根幹が、民主主義の基本がないがしろにされる大問題だ。
しかし、これを問題視する政治家は見当たらない。行政も他人事のようで、施策に入れることはない。西宮市かどこかで、投票率アップを公約に出馬した市議がいたらしいが…。
市民にとって切実なテーマを掲げて立候補するとそれなりに反応がある。福祉や住みよい町や、金太郎飴のような公約が並ぶ選挙には、多くの市民はそっぽを向く。県政もしかり。以前は市政も動かすようなパワーが県議会議員にあったが、行政側が決めたものを伝えるだけの活動が目立ち、投票率は下がりっぱなしだ。
光市議選は2回続けて投票率が大きく下がった。課題は本当になかったのか。市営住宅は十分機能しているか。若者が住める市営住宅になっているか。光丘高は将来的な統廃合の対象になっている。これから育つ子どもたちに一つ高校がなくなることがどんな影響を与えるか。市議でもその気になれば止めることができるかも知れない。昔、地方議員はドブ板議員と言われていた。ドブ板でも良い、地域で困っていることを解決できる議員がほしいのだ。
地方議員の政務活動費の使途で不祥事が続いている。周南3市では、周南市は1人当たり年間30万円。下松市が13万2千円。光市が24万円となっている。先進地区への視察などの費用もこの中に入る。目的はさまざまだが、市民のために何ができるか勉強するための費用だ。市民の目を地方政治に向かせるために使われるべき税金だ。
市民に、県民に何が必要か、優先順位をつけるのも大切だ。高校統廃合について何も語らない県議は必要ない。賛成でもいい、何らかの声を発すべき重大な課題だ。賛成なら統廃合して成功した例を探してくるべきだ。そのために政務活動費がある。先進地視察の報告に「日刊新周南」の紙面を提供するので、ぜひ利用してほしい。
(中島 進)

グラマシー閉鎖で同窓会もできない

コンベンションホール建設に力結集を
2017年のしょっぱなに周南市の旧徳山市中心部に激震が走る。老舗ホテル、ザ・グラマシーが1月末で宴会部門を止める。どれくらいの影響が出るか想像できない。中心部で同窓会1つできなくなる。まとまったパーティーや会議もできない。昭和通初め、中心部の飲食店への打撃はいかほどになるのだろうか。他地区からの参加する集まりもなくなる。都市としての機能が消滅する。
もちろん、コンベンションホールの役割は、ホテル・サンルート徳山や遠石会館があるが、立地的にも、規模的にも今までの集まりをこなせまい。ザ・グラマシーでは過去平均して、300人以上の集まりを年間20回から25回こなしていた。それ以上に100人、200人規模は数知れない。県大会、中国大会など多くの会議もこなせなくなる。
百貨店がなくなり、映画館が姿を消し、揚げ句に周南地区最大の宴会場も姿を消す。最も気になるのは旧徳山市、ひいては周南市の将来に夢を持てない雰囲気が広がることだ。都市としての重要な機能が失われていくことに、市民が喪失感を抱くことだ。
新庁舎が、新駅ビルが、それを打ち消す役割を持てるとは思えない。この5年間、行政が関わった大型の箱物は、わくわくするような経済活動に影響を与えるようなものはなかった。道の駅も駅長の逃亡で暗転した。駅ビルにTSUTAYAのカルチュア・コンビニエンスクラブ運営の図書館ができても、駅ビル内で帰結する様相だ。ゆめタウン徳山は街中から相当のお客を奪った。
□のぞみが停まる徳山駅を背景に、近隣から人を集めて、1円でもお金を落としてもらう仕組みを考えないと、徳山駅はあるばかりで、近隣に周南市民が流出するだけの街になる。地方都市のホテルの誘致合戦もし烈を極めている。中には市有地を無償で提供して都市型ホテル進出を進める都市もある。コンベンションホールのあるなしでは、経済的効果のある活動は相当の影響を受ける。
□民間のことだからと、この間、市は一切関わりを持たないようにしてきた。かたや駅ビルは図書館と言う公共性を持ってきて、TSUTAYAとスターバックスの誘致に、何10億円もの大金を注ぐ。このままでは市民の怒りは爆発しそうだ。北九州や岡山市などは行政が必死で経済活動を高める施策を打ち出している。
同窓会1つ街中で開けない都市を、故郷を出た仲間たちはどう思うのだろうか。何としても各団体、商工会議所、企業、とりわけ行政がコンベンションホール建設に向けて素早い取り組みをしなければ若者たちも帰ってはこない。逆に近隣からあそこで集まりたい、会議をしたいと言わせるぐらいの、コンベンションホール建設も可能だ。気持ちがあればできる。きっと。(中島 進)

新庁舎建設機会に、職員意識改革宣言を

周南市新庁舎建設機会に、職員意識改革宣言を~地域活動に参加しない職員~

数年前まで周南市の周南冬のツリーまつりで年1回顔を合わせる知人がいた。市職員で、北部地区の住人だ。若いころから仕事熱心で、青少年対策室に勤務していた時には、腕章をつけて頻繁に夜の町で子どもたちに声を掛けていた。あまりの熱心さに、たまにはつき合わさせると上司が嫌い、早々と転属を命じられ、悔しがっていた。支所勤務になり、地域の住民たちのブースを手伝うようになった。先頭になって焼きそばを作る姿に、いつも感心していた。
30数年、周南市で夏祭りなどの大きなイベントにはほとんど関わってきたが、ボランティア的に地域の行事に参加する市職員は少ない。ほかにも北部の神社のお祭りをいつも世話をしている職員もいたが、まれな例だ。職員は補助金を出すために精査することには熱心で、住民を管理するのには優秀だ。
先日〝超豪華〟な市庁舎建設のくわ入れ式があった。木村市長は市民活動の拠点にと胸を張った。しかし市民の中に新庁舎建設で高揚感などほとんど感じない。建て替えがいけないわけではない。何か欠けていることに気付いていないことを危惧するのだ。市民活動の拠点になるとは誰も思っていない。職員がきれいで、働きやすい環境ができると思っているだけだ。
市長から、どんな市職員になってほしいか、明確な方針を聞いたことがないからだ。市民に寄り添い、市民の間に入り込み、市民と共に行動する職員を作ろうと、意識改革を前面に出した言動を市民は望んでいるのだ。市民のためなら難題も解決に導く指導力を求めているのだ。
「共に。」とスローガンだけは流れる。市の公用車にも書き込まれている。実態はどうなのか。ほとんどの施策は職員が考え、民間の知恵を最大限生かした施策は今のところ見当たらない。地元にブレーンがいない。審議会など作るが、大学教授を座長に、行政案を承認するだけの委員会になっていないか。
110億円もの大金をかけて、職員にとって最高の職場環境が作られる。市民は住民票を取りに行くのに、入り口ができるだけ近い方が良いのだ。便利な窓口がほしいだけだ。それより相談ごとに真しに立ち向かってくれる職員がほしいのだ。市民がわくわくするような施策がほしいのだ。
せっかく競艇場から毎年1億円をはるかに超えるお金が入ってくる。地域が少しでも元気になるような企画なら、どんどん市民団体に補助金を出せばよい。新庁舎の柱代に使われたくはない。豪華庁舎建設を、職員の意識改革の大きなきっかけにします、と宣言することがまずは一番だ。違うかな?(中島 進)

もし三島由紀夫が生きていたら

もし三島由紀夫が生きていたら~憲法改正に何という?~

昭和43年(1968)、44年(69)ごろ、全国で学生運動が沸き起こり、国際反戦デーなどでは、東京・新宿などで相当な騒乱になり、破防法が適用されるなど、1,500人を超える学生が逮捕された。一方、民族派と呼ばれる勢力も増えて、天皇を中心にした憲法改正を訴えた。東大全共闘と作家、三島由紀夫の討論会が開かれたのもそのころだ。三島の「天皇と一言言ってくれれば君たちと共闘する」とかみ合うか合わないかわからない議論は注目された。
民兵組織「盾の会」を結成し、狂信的な若者を従えた三島は、市ケ谷の自衛隊駐屯地で、眼前の自衛官たちに「立ち上がれ」と声を張り上げ、ざわつき、嘲笑する自衛官たちに失望、腹を切って自決した。日本の伝統と武士道を守れと45歳の人生を駆け抜けた三島の生きざまは衝撃的だった。
浅間山荘事件を映画にした若松孝二監督が、三島をテーマに映画にしていた。どこか憂国を論じる三島に共感するところがあったのだろう。官僚主義で、物質主義の世の中に危機感を覚えたことが共通点だったかもしれない。何よりも武士道を重んじたことが、左翼的な人たちにも受け入れられたのかもしれない。潔さを行動の要にしたことだ。
今国会で安倍首相が所信表明で自衛隊などをたたえた場面で、自民党議員が総立ちで拍手した。何か中国の議会を見ているようだった。正直、政治家の多くに、国を守るために命を投げ出す覚悟を感じない。潔い政治家を久しく見ない。責任を取らない官僚主義国家になって、国家に期待できない国民が増えたのも事実だろう。富山市議会の政務活動費の使い方、東京都の豊洲の盛り土問題、各地の不祥事に、武士道も何もあったもんじゃない。
こんな中で憲法改正を語られても、にわかには信じきれない。三島も、決して大戦中の軍隊を美化しているわけではなかった。2.26事件を起こした青年将校たちにどこか想いも寄せていた。純粋に国を憂い、国家としての品格を重んじる、そんな官僚や政治家を求めていた。都合が悪いことはすべて隠そうとし、選挙に有利かどうかが判断基準の風潮に腹をすえかねたのだろう。
三島事件から約50年。憲法改正がようやく現実味を帯びてきた。「これで憲法改正はなくなった」と自衛官の前で嘆いて見せた三島が、今の世の中を見たらどう感じるだろうか。お金をもうけたものが一番。武士道などは死語に近い。自己保身に邁進する官僚や政治家の前で何を語るだろうか。ドン・キホーテのごとき行動だったが、なぜか忘れられない。(中島 進)

いつから求職活動を?

いつから求職活動を? ~江本前駅長にみんなが唖然~

埼玉県桶川市の市広報9月号に、周南市の道の駅「ソレーネ周南」の駅長だった江本伸二氏を7月1日付で市職員に採用したと紹介されていた。我が社が同駅の赤字問題でインタビューしたのが7月末だった。もうその時点で、彼は他市の職員だった。堂々とインタビューに答えていたが、指定管理者として道の駅を運営する周南ツーリズム協議会の藤井代表理事も一緒だった。売り場面積確保のため、コンビニエンスストアの移設を申し入れるなど、改革案も語っていた。彼のインタビューはなかなか実現しなかった。ずっと出張中が理由だった。しばらくして職員を辞めてボランティアで駅長を続けることになったが、理由は「少しでも経費を削減する」だった。
前代未聞の展開に、周南ツーリズム協議会も行政も驚いた。「ソレーネ周南」の顔と言うべき駅長が密かに他市の職員になっていたのだから。昨年11月には桶川市に招かれ、カリスマ駅長として講演していた。いつから求職活動をしていたのか。東京出張も多かったが、自らの求職活動のためだったら、その経費はどう処理するのか。給料の二重請求だけではすまないだろう。
江本前駅長を責めるだけで問題は解決しない。行政、ツーリズム協議会が形式的でない、本音で経営を論議することだ。まずツーリズム協議会がもっと責任を共有して理事会を含めて再構築することだ。行政も設立の経緯を含め、検証作業を進めることだ。
周南地区ではJAが相当カ所の直売所を経営しているが、営業時間中の安定供給には苦心している。ソレーネ周南は市内の山間地など広範囲の高齢者たちが作る野菜も売れるようにヤマト運輸と提携、高コストの野菜を置いている。そうでもしないと農産物は集まらない。絶対的に農業者が足りないのだ。地産地消ばかりを強調するが、コストをかけて農産物を集めるシステムはビジネスとしては成り立たない。結局、小指の大きさの里芋まで売るようになる。ツーリズム協議会のメンバーに流通のノウハウを持つ人がいない。頼みのJAは設立当初から腰が引けていた。自分のところで精いっぱいだからだ。
□徳山商工会議所、周南観光コンベンション協会の一員として、設立に意見を言ってきた立場から、改めて当時の議論を思い浮かべている。江本前駅長は、人の意見を聞く態度ではなかった。最初から福祉の駅を作ると語っていたが、その意味を理解できた人がどれくらいいたのか。確かに高まいで、限界集落の人たちを救うことになるかもしれないが、まずは収益を上げないと不可能な課題だった。
□グッドデザイン賞という看板をもらい、桶川市でも大歓迎で受け入れられたようだ。渡り鳥のような生き方に良い、悪いは言えないが、周南市の多くの関係者に失望を感じさせたことは間違いない。一言、謝罪のメッセージぐらい欲しいところだ。(中島 進)

光市長選挙に望む

光市長選挙に望む ~民間人の活力、センスを引き出す市政を~
10月16日告示の光市の市長、市議会議員選挙まであと1カ月。かつては、市長選は当時は貞兼一県議と河野博之県議と派閥が明確で、市長選もそれが反映されて動いた。松岡満寿男元市長の影響も大きく、支援を取り付けるのに苦心していた。新日鉄も隠然たる力を持っていた。投票率の低下と比例するように、激しい争いも少なくなった。今回は無投票で再選されそうだ。新日鉄が新日鉄住金と新日鉄住金ステンレスになり、地方政治に注力しなくなって、ますます投票率が下がってきた。
市川現市長はボーイスカウトで培った行動力と繊細な気配りで、反対勢力の台頭を許さない体制を作った。市議会議員出身だが、行政を無難にコントロール、飛び抜けたアイデアは少ないが堅実だ。周南コンピュータカレッジの廃校後も専門学校の誘致に成功し、病院問題も終息に向かっている。
上関原発も工事再開の目途も立たないことから一時ほど話題にならなくなった。原発に賛成できないと明言する市川市長だが、賛成派からの反発もほとんど見られない。安定した市政運営ができそうだ。こうした時こそ、思い切った施策を実行できる。光市の宝は自然と多様な人材だ。
我が家のトイレには、光市の自然を描いたイラストのポスターが20年前からかけてある。「日刊新周南」でも連載していた奥田賢吾さんらが作った日本中どこに出しても誇れる素敵なポスターだ。年月が経っても色あせない。光市は人間国宝の山本晃さんをはじめ多彩なアーティストを輩出してきた。エコ活動家も多い。
行政の仕組みに民間人を参加させるのが一番難しい。どこもそうだが、施策を考え、決定するのは行政マンの役割だ。そう決めつけるのが従来の役所だ。周南市も民間人が動いて周南観光コンベンション協会を作った。観光事業を民間に託す大きなきっかけにと期待されたが、担当行政マンの人数を削減するわけでもなく、観光協会当時と感覚は変わらない。むしろ二重行政的になった。市川市長は若手職員を地域活動に参加させることに積極的だ。問題は民間の力を引き出す手法に工夫が足りないことだ。
いつまでも補助金で民間を応援している。発想を変えて、職員の削減を図り、浮いたお金で好きに使える予算を作り出すことだ。一人削減すると、少なくとも年間700万円程度は浮く。300万円出すから5000人集めるイベントを考えてくれと若者たちに委託することだ。施設の運営を民間に任せることだ。
若者たちは自由な発想で、イベントを楽しみ、施設の運営に知恵を絞る。そこに多様な人たちが集う。デザイナーだったり、大工さんだったり、経営者だったり、もっと柔軟な発想が生まれてくる。役所機構の中からセンスの良さを追求する思想はなかなか生まれない。(中島 進)

小学6年まで医療費無料の下松

小学6年まで医療費無料の下松~人口増の下松と、光、周南の違いは?~
地方自治体の力は目安を何にするかで評価が違ってくる。ちなみに10年前と人口を比較すると、光市は2,500人、周南市は6,200人ていど減少、下松市は2,000人ほど増えている。分母が違うのでそのまま比較にはならないが、3市の中で下松だけは増えている。周南市、光市は合併で中山間地域を抱えているのも要因だが、どこでこんな差が出たのか。
政策にどんな違いがあるのか。水道料金は確かに下松市が安い。特に違うのが子育て支援だ。下松市は8月から医療費を所得制限なしで小学校6年生まで無料化した。周南市の医療費は所得制限つきで小学6年まで無料、光市は所得制限つきで小学3年までだが高校卒業までの入院費が無料だ。下松市の政策は子育て世代には相当の魅力だろう。さらに、下松市は第二子以降は保育料が無料だ。
一時期、財政再建団体に陥った下松市は、緊縮財政を強いられたが、それをバネに見事な復活を遂げた。職員給与も圧縮、ケチケチ作戦をしてきたが、子育てには力を注いできた。インフラ整備ではザ・モール周南南側の道路計画は、見事なまでの碁盤目状で建設が進んでいる。店舗が張り付き、住宅がどんどん建てられている。子育て支援がそれをさらに促進している。
若者が1人定住すると、その自治体にどれほどの効果があるか。ある研究者の試算によると、所得にもよるが、生涯で3,000万~5,000万円もの税収増が見込まれると言う。子どもが増えればさらにその効果は増していく。将来を担う若者を増やすことは、最優先課題だ。防府市は市が商工会議所に委託して市内の企業約140社のカタログを作成、市内の高校生全員に配った。市内へ就職、定住してほしいと動いている。
山口県も若者定住を標ぼうする。Uターンを盛んに訴える。しかし、Uターンして創業する若者支援は、県内全域でわずか3件しか予算化されていない。優秀な若者を呼び戻そうなど、よくぞ口に出しているなと、あきれるばかりだ。行政の本気度が地域間格差を生み、将来を予想させる。周南3市ももっと連携して未来予想図を共同で描く作業を始めるべきだ。周南市はもっとしっかりして、そのリーダー役を演じることだ。未来予想図は老人の町ではない。(中島 進)