一言進言

ブレーキには補償を

~政府は庶民の生活感を持て~

今年の師走はいつものそれとは大きく変わりそうだ。忘年会もほとんどなく、帰省する人もめっきり減るだろう。政府は「勝負の3週間」と呼びかけたが、一向に効果はなく、むしろ感染者は増えている。いろいろな専門家がその理由を語るが、ほとんど効果もない。

ブレーキとアクセルを同時に踏むとどうなるか、誰もわからないまま進んできた。仮定の話をしても意味がないが、非常事態宣言解除をあと1カ月延長すれば事態は変わったのか。今の状態は非常事態ではないようだ。

私見だが、周南3市の中だけで動いている人が発症する率は極めて少ない。出会う人が広島とか東京などに移動していたら確率はぐんと上がる。宣言時、各会社では出張は全てご法度になり、旅行者も皆無に近い状態だった。もちろん飲食店は閉まっているので会食も皆無に近かった。だからしばらくは周南3市でも発症者のゼロが続いた。

つまり、人の移動を止める以外に感染者ゼロはなしえないのだ。9月ごろから国がGoToを語りだし、一気に若者中心に移動が始まった。域外の人との交流も盛んになった。経済が止まるがすべての理由だった。本当にそうだったのか。司法書士など士(さむらい)業の人たちや、建設業の人たちにはほとんど影響はなかった。これだけお金を使うなら、サービス業など困窮する業種、人を絞り込んで援助すべきだった。一律10万円をばらまくのではなく、直接被害を受けた人たちに焦点を当てるべきだった。

このコロナ禍の中、株価だけは信じられない高値を付けている。何かおかしい。お金は余りに余っている。景気と株の関係は素人には全くわからない。コロナが収まらない限り、サービス業に携わる一般庶民は生活ができなくなる。移動を止め、補償をしっかりして、感染経路がわかるような状態を作り出す時期だ。

政府はGoToトラベルを2週間停止するという。GoToEatの自粛も要請するという。自粛したら生活できなくなる人たちへの補償はどうするというのだろうか。生活感のない政治家や官僚の言い草には辟易(へきえき)してきた。今こそ日銀はお札をどんどん刷ればいい。株で儲ける投資家へ重い税金をかければいい。

(中島 

周南市民6割が広島経済圏へ買い物

~若者減らすなプロジェクトを~

周南市の人口は来年末か再来年には14万人を切って、13万人台になる。合併前16万人を超えていた。それに伴い高齢化もどんどん進み、65歳以上の高齢化率も30%を超え、5年後には35%を超えそうだ。全国平均を大きく超えている。若者流出も相変わらずひどく、毎年700人単位で出て行っている。

光市も同様で、高齢化率は約35%までになった。周南市と同様若者流出は止まるところを知らない。結果として光丘高と光高の統合が決まり、YIC保育&ビジネス専門学校は来春で閉校する。周南市も、光市も市民の中で不安が増幅している。今年の光市長選は現職が何とか勝利を手にしたが、昨年の周南市長選は現職が敗れた。現状を打破してくれそうな施策が見えないし、この先希望が持てないから、市民は常に新人候補に期待する。市民の感覚は正直だ。

一方、人口が県内で唯一増えている下松市はインフラ整備が進み、地域の形が目に見えて変化した。商業集積はどんどん進み、近年もクロスランドや乃が美など有名店の出店も相次いだ。高齢化率も30%を当分維持しそうで、全国平均を下回る。小中学校も教室が足りなくなる状態で、うれしい悲鳴が聞こえてくる。だからではないが、市政への不満を聞く率は低い。

山口銀行の経済研究所の調査では、10代~40代の周南市民の実に22.6%が広島に行っている。徳山、下松のゆめタウンには2カ所だけで36.3%になる。ゆめタウンが広島資本なのは知られているが、10代~40代の周南市民の実に6割を超える人が広島経済圏にお金を落としている。と言うより、地元で楽しめる場所がないことを意味している。

周南市も光市も熱心に市政を運営している。なのになぜこれだけ人口が減り、若者が流出するのか、市民の不安が増幅するのか。買物動向調査も大切な判断材料にはなるだろうが、それ以上に子育てや、人とのつながりとか、不安になる原因がないだろうか。全国平均的な施策で満足していないか。もっと、分析やアイデアを集められないか、行政の縦割りを排除したプロジェクトチームが今こそ必要だ。

ずいぶん昔に書いたが、周南市は公民館が市民センターに、光市はコミュニティセンターになったが、地域の若者たちのおり場、楽しめる場所にしているか。バンド活動をしたい若者たちに開放出来ているか。高齢者だけのスペースになっていないか。検証すべきことはまだまだあるはずだ。

(中島 

「まちのポート」存続を

行政も本気で取り組め

周南市の徳山駅東側が大きく様変わりしている。多くの店舗が移転したり、閉店したりでしばらくは閑散とした街並みになる。移転組の中ではイタリア料理のリコは、石丸薬局そばに移ったが、中庭もありさらに進化した店つくりで人気を呼んでいる。他店はつぶさに見ていないが、新天地で頑張っているようだ。

12月に再開発は県の認可が下りたら一気にみなみ銀座、銀座通りは工事一色になり、景色も一変するだろう。完成までの数年間、銀座通りの人通りは大きく減少するだろう。そんな中、設立に多少関わった周南観光コンベンション協会も移転すると聞いた。「特産品セレクトショップまちのポート」も当然移転する。どこになるか気になったが、結局場所がなくて当分休業する予定だそうだ。

「まちのポート」は観光案内所を兼ねた店舗で、周南地域限定のお土産品を扱う街中唯一の施設だ。光市や下松市のお土産商品も扱い、他地域から来た人や他地域に行く人にとって、地域の名産品を手に入れられる唯一無二の場所だった。聞くと観光案内所の機能だけは、徳山駅の南北自由通路にカウンター一つを設置、かろうじて体面を保つ計画だそうだ。

観光コンベンション協会は、従来の官製の観光行政から脱却、自由で活発な活動で地域を盛り上げようとして設立された民間組織だ。「平和の島プロジェクト」は、民間だからできた。「回天カレー」「お重さん缶詰」など、大津島を全国に知ってもらおうとメンバーが考案、販売まで熱心に取り組んだ。そのほとんどがボランティアによるものだった。秋の「のんた祭り」などの形態を変え、もっと市民に喜んでもらい、地場産品の販路拡大に役立つものへと工夫してきた。かって一人だった職員を複数人にするため、行事があるたびに地場産品の販売に精出してきた。

15億円もの市民の税金を使っての再開発のために、「まちのポート」は閉鎖を余儀なくされる。ここは行政が知恵を出して、臨時でもいいから仮設店舗でも建てて、「まちのポート」の存続を図るべきだ。移転費用は再開発組合に負担させるべきだろう。新幹線が止まる駅の前から、地域のお土産品売り場が消滅することにあまりにも鈍感すぎる。無策すぎる。周南地域、いや防府まで含めての玄関口でもある徳山駅の存在意義が問われる問題だ。きれいにするだけが能ではない。地域の産業育成にも影響する。

(中島 

アメリカは世界の人権を守る国へ

~先ずはユネスコ復帰を~

バイデン氏がアメリカの次期大統領に決まった。トランプ大統領が負けを認めず裁判に訴える。連日日本のメディアは我が国のことのように大きく報じている。いかにもバイデン氏がまともでトランプ大統領は変人のような扱いが多い。果たしてどうなのか。

私の独特の見方なのだが、アメリカは大統領で大きく変わる国だと思っていない。昔の西部劇ではインディアンが常に悪者で、白人が善人役でインディアンを撃ち殺す映画がほとんどだった。それが先住民の人権が問題になって、確か20年か30年前に先住民に謝罪することを決めた国だ。

大戦後70年以上、アメリカは世界中でほとんど休憩なしで戦争をしてきた国だ。9.11後、アフガニスタンに侵攻することにアメリカ国民の8割以上は大賛成した国だ。カルフォルニアの基地から無人爆撃機を飛ばし、ハンバーガー片手にパソコン画面を見ながら、すさまじい爆弾を落とし、罪のない子どもや女性を殺害してきた国だ。

世界の警察と言うが、アメリカが攻撃して、従順になり平穏になった国は一体どこなんだろうか。私の知る限りアメリカが完全に勝利し、屈服した国は日本だけだ。中東は未だに炎が上がり続き、征服した状況はどこにもない。ベトナムに対しては、あの世界で冠たる軍事力をもってしても敗北した。

アメリカの語る人権とは、アジア、アフリカ、中東に生きる人たちへの人権とは意味が異なっている。日本もアメリカに従順に従って、多くのメディアは「中東で100人死にました」との報道はわずか数行の記事で消化されてきた。人間一人の命の重さの違いを見せつけられてきた。

アメリカは2019年にイスラエルと共にユネスコ(国連教育科学文化機関)を脱退した。ユネスコがイスラム諸国に好意的だとの理由だ。アフリカなど新興国の飢えた子どもたちの教育を救うにも、ユネスコの活動は欠かせない。バイデン新大統領にはアメリカ国内の人権も融和も大切だが、もっと大きな目で世界を見て、人権を守る模範国家を作って欲しい。まずはユネスコへ復帰だ。 

(中島 

グランドデザインのない周南市

~都市の再生は可能か~

周南地区の商業地図が大きく変化したのは20年前だ。下松市にサンリブ下松やザ・モール周南ができ、買い物客の流れは大きく変わっていった。20年前に徳山駅ビルが解散を決めた時が、流れを決定付けた瞬間だった。出資者が㈱トクヤマなどの大企業と旧徳山市だけだったから、混乱なく静かに幕は下りた。

全国の商店街がそうであるように、旧徳山市の商店街も衰退の流れは止めようがなかった。近鉄松下百貨店が閉店して、その流れはさらに加速した。幸い従来から旧徳山市の商店街は、県下でも抜きん出て活況を呈し、商店主たちは十分な収益を上げ、郊外に不動産を取得するなど、倒産に至った商店主は非常に少数だった。

夏まつりや、ツリー祭りなど何万人もの人出があっても、夕方定刻にはさっさと店じまいする商店街に批判も多く聞かれるが、切迫感はさほど感じないのは何故だろうか。未だ空き店舗がない銀南街を維持できているのも県内でも希有の例だろう。しかし、買い物動向調査では、ほとんどの周南市民は下松市などに集中し、旧徳山市の商店街での買い物客は激減している。土日などの人通りは悲惨だ。

少しばかり前だが、個人的なつながりで、日本を代表するデベロッパーに来てもらって、ここ旧徳山市の中心地帯の再生はなるのか診断してもらった。結論は「駄目でしょう」だった。要因は「この周南市には全体を見たグランドデザインが全くない」だった。駅西側をどうしたいのか、駅南をどんな街にしたいのか、市役所から北の一帯の役割は何か、など何もプランがないと言い切った。また、少子化対策や、若者定住策など目立つ施策がほとんどない中で、小手先の手直しでよみがえることは不可能と断言された。

確かに周南市は将来像を描くための材料はほぼ何もない。光市も同様だ。人口は減り続き、少子化は進むばかりの中、新たなインフラ整備の計画もないし、将来像を描くことも成しえていない。人口は減って当然、子どもはいなくなって当然、と思い込んでいる。まだまだ周南地域は地方都市の中では恵まれている。大胆で細心のプラン作りが急務だ。

(中島

あるビジネスマンの市議挑戦

~勉強しようもっとどん欲に~

投票にいかなかった人に聞くと、「興味が無い」「誰がなっても変わらない」が圧倒的に多い。全国的だが、最近の投票率の低下はどうしたもんか。国政選挙だけでなく、身近な地方選挙も毎回投票率を下げている。各市の選挙は全て同じ傾向なのが恐ろしい。

この日曜日は光市の市長、市議選挙だ。わが社もこの1カ月、相当の紙面を割いて選挙がらみの記事を掲載してきた。しかし、反応の鈍さはどうだろうか。光市の知人に聞いても盛り上がりを感じない。市議選では「応援したい人がいないんですよ」と冷ややかだ。

正直申し訳ないが、周南市をはじめ、小さくても光る新人市議会議員候補が少なくなった。ある人は「就職活動と思ってるんじゃないか」とこっぴどい感想を語る人もいる。しかしはっきり言って勉強不足のそしりは免れまい。地域のこと、社会の仕組み、目標とすべきこと、もう少し自分の言葉で語って欲しいものだ。

近く日本地域研究所から「ビジネスマンよ議員を目指せ!-セカンドキャリアのすすめ-」の題で一冊の本が出版される。もともとIT業界のビジネスマンだった筆者(51)が書いた。市議会議員を目指したのは「やりがいがあって、定年がないから」だった。営業や管理などビジネスパーソンのスキルは地方議員に有効だと思った。

見事初当選するが、「マーケティング」として選挙戦略を立てた。ターゲットは党派や主義より「人物本位」で選びやすい40~50代に絞った。リーフレットの配る場所、何時に配るかまで考えた。1千軒を一度回るより、300軒を3度回るほうがはるかに有効だと解析した。働く層がターゲットだけに「通勤の利便性改善」を政策の柱においた。

選挙公約を見たらどの程度考えて立候補したかがわかる。「安心・安全な町作り」「みんなが幸せになる地域に」金太郎飴のような公約だらけだ。東日本大震災の後、一人の市議が注目を浴びた。彼だけが10年以上「避難道路を作ろう」と訴え続けた。おかげで道路は完成。多くの市民の命がその避難道で救われた。

就職活動でも良い。市議会議員になった以上、「市民にとって不足しているもの、市民が困っているものは何?」と聞かれて即座に答えが出せるよう、勉強を怠ることが無きように。

(中島 

19億円詐欺の謎!

~何が彼女をそうさせたのか~

会えば必ず数日以内に感謝の葉書が届いた。丁寧で上品な物言いで、決して押しつけがましい勧め方をすることもなかった。何よりも断られることで嫌な顔をするわけでもなく、むしろ熱心に顔を出すことに精を出した。彼女は瞬く間にトップセールスの座に就いた。

彼女は多額の詐欺で告発される身となった。彼女を知る人は一様に驚いた。「なぜ、あの人が」と。何年前だったか、彼女は第一生命のセールスウーマンの鏡だった。それは多くの顧客が集い、第一生命の幹部も周南を訪れ、大きなお祝いのパーティーが催されたことで、多くの人が知った。

彼女と何回も会ったが、彼女が国内で有数のセールスウーマンになった秘密を探ろうと、いろいろな話を聞いた。ある団地に越してきた子づれの家を訪れたら、困っていることを聞き、手書きで周辺のお店情報の地図を作って持って行った話とか、親戚が生保を扱っているからと一言で断られても、毎月一回は顔を出してあいさつだけしていたら、数年後、先方から「親戚と関係が悪くなったから」と呼び出されて成約になった話など、実に楽しい話が続いた。

医師の顧客が多かったが、年収3千万円だとか、破格の高給取りの社員だった彼女がなぜ?と誰もが耳を疑った今回の騒動だった。19億円ものお金を集めたが、対象が20数人と聞いても驚かない。彼女が話せば信用しただろう。私の周りにも何人か信用した人はいた。しかし、第一生命がそのほとんどを弁済するとなって、なぜかほっとした。

「30%の利息が付く」と言ってお金を出させたわけだから、れっきとした犯罪で許されるものではない。いろいろな話を聞くと、どうやら彼女は神戸あたりの新興宗教にのめり込んだ節がある。だましたお金はその宗教団体にほとんど捧げたのかも知れない。それなら彼女の行為に納得がいく。数年前から変な感じだったらしい。

何年も前からその宗教団体の話は聞いたことがある。周南では信者がそこそこいるのは知っていた。私の推測でしかないから、不確かなことだが、オウム真理教も私の身近なところで信者がいた。本も何冊かもらった。心の隙間に入り込むことは、今の時代、容易なのかも知れない。あの彼女にも心の隙間があったのかも。

(中島 

地域主義の宣言を

~地元のお店を救え~

徐々に人の動きは活発になってきた。週末にはほぼ満席のお店もある。若い人が中心で、年配客が多い店は、まだまだ苦戦をしている。人と会うとほとんどが「一体いつまで続くんかね」があいさつ代わりになった。コロナ禍の行方は未だ誰にもわからない。年を越すのは間違いなさそうだ。

今年の年末は今までの感覚とは全く別物になりそうだ。忘年会はまさに典型的な例で、まったく様変わりの忘年会になりそうだ。20人も、30人もが一堂に集まった忘年会は絶望的だ。リモート忘年会など、自宅滞在の忘年会になるのだろうか。飲食店への影響が心配だ。一年で一番売り上げが期待できる期間だけに、そのダメージは想像を超えるかも知れない。

毎年数百万人と言われる明治神宮の参拝客はどうなるのだろうか。この近郊の神社への参拝はどうすればいいのだろうか。さすがにお正月は帰省する人は多いだろう。都会から帰省すると家族間のクラスターも心配だ。行政は国にならって、5千人を超える集まりもオーケーとした。なら初詣もオーケーなのか。正月の帰省も大丈夫なのか。

結局は個人の判断で動くことしかない。多くの規制が解除され、何が正しいか決断は自由になった。一方、まだまだ自粛する人が多い中、地域の飲食店などは、年末までの閉店を考えている店主も多い。結婚式も葬式も自粛ムードは消えない。地域経済のダメージが大きい。ここは正念場だ。行政も、商工会議所も地元経済をどうしたら支えられるか、知恵の出しどころだ。

先ずは地元のお店を利用することを訴えることだ。全国チェーンのお店ではなく、できるだけ地域のお店を支える市民を増やすことだ。徳山商工会議所では岡田幹矢会頭時代、地元のお店で買い物をと呼びかけていた。近鉄松下百貨店が閉店するとき、多くの市民が「無くなったら困る」と嘆いた。日頃郊外のショッピングモールや、広島や博多に買い物に出かけていたのにだ。

トランプ大統領の自国主義が話題になっている。この周南地区は地域主義で生き残ろう。全国チェーンは儲からない、とすぐに撤退する。儲けは全て本社だ。行政も、各商工会議所も歩調を合わせ、地域主義を高らかに宣言しよう。プレミアム食事券などは地元の店だけに通用するので良い。グローバリズムなどくそくらえだ。


(中島 

難解なシティプロモーション

~地域の自慢探しを~

全国の地方自治体がシティプロモーションに取り組んでいる。自分たちの市や町を知ってもらいたいと懸命だ。知ってもらうことで何を産もうとしているのか各地思いが違う。中には定住者を増やしたいとか、特産品をもっと販売したいとか、地域によって目的も異なる。何をもって成功とするかも各地域で違う。

よくあるのがプロモーションビデオの作成だ。ユーチューブで配信し、アクセス数で評価される。中には有名人を使って多額の経費をかけ、ストーリー性など工夫を凝らして作成するところもある。光市もかつて作って、それを見て移住希望者が1人だか、2人だか出てきたと話題になった。下松市はフイルム・コミッションを立ち上げ、何本か映画も作った。

周南市も新たに多くの参加者を募り、シティプロモーションに取り組み始めた。それはそれで良いことだ。確かなのは、この地域の自慢できること、この地域の良さを再発見する作業そのものが大切だ。この周南地区は観光地ではない。観光で多くの人を呼ぶのは至難の業だ。全国的に有名な観光地には勝てない。

地方で一番肝要なのは、ずっとここで住んでいたい、ここから離れたくない人がどれだけ多くいるかだ。人それぞれ判断基準が違う。便利さを求める人、隣近所が面倒でないこと。子育てが楽なこと。などなど色々な要素がある。しかも厄介なことに、年代でその求めるものが大きく違うことだ。例えば過疎地で住民アンケートを取ると、ほとんどの人は「住みやすい」と応える。若い人がいないから夜中にバイクの音が鳴り響くこともない。お年寄りには知り合いに囲まれ、静かな地域が最高だ。

周南地区の若者にアンケートを取ってみればよい。「あなたの市はどんなところですか?何が自慢の市ですか?」。多分かなりバラバラな答えになるだろう。要するにシティプロモーションがいかに難しいか、どこもするからするとは思いたくないが、難解な事業だ。そもそもシティプロモーションは、自分たちが誇りにできる地域を創ることが大きな目的だ。知名度なら、野犬の問題で全国版になった。


(中島 

コロナ後はどんな世界に

~再開発は本当にうまくいくのか?~

ひと昔前、徳山の商店街は人であふれていた。歳末などは人とすれ違うのも気を使うほど人波は止まることが無かった。昔を知る人たちはノスタルジックにあの賑やかさをもう一度と願う。かなわぬ夢だとわかっていても、もう少し何とかならないかと思う。だから徳山駅前再開発事業を否定する声はほとんど無い。

どんな再開発か、ほとんどの市民は知らない。事実、今の時点でわかるのは、旧近鉄松下百貨店などの建物が壊され、徳山商工会議所が駅前に移転することと、マンションが建設されることだけだ。商業施設やホテルは中身が皆目わからない。どんなホテルか、どんな商業施設ができるのか、市民が一番関心を持つ部分は今後の課題としてそっくり残っている。

そんな中、再開発の区域内では賃貸している店舗の立ち退き交渉が始まり、すでに多くの店舗などが移転を始めた。そもそも再開発組合は10数軒の地権者が作った組合だ。区域内で何十年も営業していた人たちは発言できない。立ち退き交渉開始は事実上再開発事業の開始だが、15億円の負担を担う市民には一切告知もないスタートだった。

約半世紀もその地で店舗を守ってきた商店主にとっては、移転先の立地条件は死活問題だ。組合からは移転先の告知も、応援体制も十分ではなかった。わが社は一店一店取材して記事にすることしか応援ができない。一方、地権者が経営していた店舗はほとんどが閉店するという。長年歯の抜けた商店街で、賃料を払い続けて何とか歯を食いしばって頑張ってきた商店主への配慮はないに等しい。15億円の周南市民の血税と、15億円の国の税金を使う事業だが、地権者たちの論理だけの再開発が果たしてうまく行くのだろうか。

今、新型コロナ禍の中、福岡市の開発事業は延期、徳島県からは百貨店が撤退、など全国で商業関係の暗雲は想像以上だ。コロナ後商業の在り方そのものが暗中模索の状況だ。どんな世界になるか誰も見当つかない。ここ徳山の中心市街地だけが例外になるとは思えない。従来のままの計画でうまくいくのか。検討した跡が見えない。地権者の早くお金が欲しい意欲がそうさせているのか、日本中で物販の世界が変わろうとしているときに、誰にも告げずに事業をさっさと始めることは、理解不能だ。議会も行政も口をつぐんだだけだ。15億円もの血税の使い方に、少しは議論があってもよかろう。「民間のすることですから」と議会、行政の言い訳はこの一言だ。この事業の失敗は許されない。市民のマインドが徹底的に落ち込む。

(中島