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政治 : 下松市のニュース
県内唯一、行政の空き家巡回サービス 遠方の所有者に年2回状況報告 国交省「自主対応促す取り組み」と評価
政治下松市下松市の「空き家巡回サービス」が全国的な注目を集めている。周南3市以外に住む下松市内に空き家を所有する人からの申請に応じて市職員が年2回訪問して状況を所有者に報告するもので、国土交通省も今年3月に発行した空き家対策事例集で「空き家の所有者による自主的な対応を促す取り組み」として紹介している。
この取り組みは周南3市以外に住む、下松市内の空き家所有者が対象。市職員が5〜6月と9〜10月の年2回、所有者が指定する空き家を訪問して外観などを撮影し、報告書と写真を郵送か電子メールで所有者に送って報告している。
本来は所有者による定期的な確認や適切な管理が望ましいが、遠方でそれが難しい場合に市が代わって現地を確認する仕組み。建物の破損や草木の繁茂など周辺に影響があると市が判断した場合は、所有者にどう対応するかの回答を求める。期限内に回答がない場合は巡回サービスを中止して、その後の申請もできなくなる。
市住宅建築課によると、この取り組みを始めた2018年度は1件▽19年度と20年度は各4件だったが、今年度は10月末現在で15件と大きく伸びており、所有者の関心の高さがうかがえる。
同課のまとめでは市内には現在、約1,300件の空き家が確認されており、そのうち8件は倒壊の恐れがある「特定空き家」に認定されている。特定空き家に認定される恐れがあるものは30〜40件と見込まれている。
10月28日には市役所で市空き家等対策協議会(会長・国井益雄市長、9人)が開かれ、特定空き家の状況が報告された。このうち家屋、土地の所有者とも死亡して相続放棄ずみの西豊井殿ケ浴の家屋は、昨年10月に家庭裁判所で相続財産管理人の選任などの手続きを進め、今年10月に解体されたことを紹介。
同市のように行政が無料で直接状況を知らせている空き家巡回サービスは県内では下松市のみ。山口市、防府市、長門市ではシルバー人材センターが有料で空き家の管理を引き受けており、萩市ではふるさと納税の返礼品で空き家管理サービスをしているという。
下松市は必要に応じて、空き家の所有者に対象経費の3分の1、上限50万円を助成する「危険空き家除去促進事業補助金」の申請を促したり、県と共同で司法書士や宅地建物取引士が応じる無料相談会を開いている。
同補助金は昨年度は6件、282万7千円▽今年度は9月末現在で8件、79万8千円を助成し、いずれも家屋の解体を終えている。解体した家屋の地区別件数は、久保1▽末武3▽中央3▽豊井2▽笠戸島5。
市住宅建築課の金子知裕課長は「こうした取り組みを通じて空き家所有者の理解を得て、問題解決につなげたい」と話している。
同サービスの問い合わせは同課(0833-45-1851)へ。