コラム「一言進言」
「井戸塀議員」は昔の話 ~大手マスコミは反省すべき~
~大手マスコミは反省すべき~
■ 政治と金の問題は、田舎になるほど意識が希薄になる。そうとう過去の話だが、鹿野町時代はひどかった。選挙になると鹿野町唯一の交番の前を、お酒を積んだ車が1軒ずつ回り、平気でお酒を配っていた。交番のお巡りさんに「あれはいけないだろう。取り締まりはしないのか?」と聞くと「いけんと言いたいが、それをしたらここで交番の仕事ができなくなる」と真顔で答えていた。
■ もっと前には私が学生で選挙運動のアルバイトをしたことがある。新南陽だったが、主な仕事はやはり支持者の家に1軒1軒お酒を配る手伝いだった。そういえば当時はまだ「井戸塀議員」という言葉が残っていた。選挙に出て井戸と塀しか残らない政治家のことだ。多くの地方議員は自分の資産を削って議員を続けていた。
■ 県議会のある長老議員は新人と僅差になったが、「失敗したよ。渡す金を半分にしたら票が半分になった」と嘆いていた。選挙区内の町長に今まで100万円渡していたが50万円にしたら、その町では票が半分になったと言うのだ。実際聞いた話だが、さもありなんと思った。
■ ここ最近は公職選挙法の取り締まりが厳しくなって、上述のようなことは起こりにくくなった。お酒やお金を配った話も聞かなくなった。ところが今は国会議員の裏金騒動で揺れ動いている。北村経夫参議院議員は118万円のバックがあったことを認め、比例中国ブロックで山口県担当としている杉田水脈衆議院議員は1,564万円ものバックがあり不記載だったと認めている。
■ 派閥はまるでやくざの世界のようで、みかじめ料として企業などからお金を吸い取り、派閥に貢献した議員は役職を配布、忠実な子分として権力を維持するための駒として使っていたようだ。昔は田中角栄のように自らお金を稼ぎ、配下に配って権力を維持していた御仁もいた。
■ 昔から政治とお金はエンドレスの関係だった。原因の一つは国民の民度の低さではないか。1億総ミーハーになって久しいが、政治の行き先に無関心になった有権者は投票に行かないことで消化してきた。マスコミも劣化した。今回一人の大学教授と赤旗が組んでキックバックの闇が明らかになった。あれだけ国会に常駐する記者がいるのに、誰一人その闇に目を向けようとしなかったのが不思議でならない。マスコミは反省しているのだろうか。地方の小さな小さな新聞社だが、世の中の動きに常に敏感でありたいものだ。
(中島 進)