2024年11月07日(木)

コラム「一言進言」

あれから40年!

~地方紙あるべき姿!求め続けて~

昭和60年(1985年)4月1日、「徳山公論」から題字を変えた「日刊新周南」が創刊した。当時35歳だった私は、設立前から設立趣意書1枚を持って実に多くの人々を訪ね、「この周南地域にちゃんとした地方紙を発行するべきだ。周南は一つだ」「情報を共有することで地域全体を発展させよう」と訴えて歩いた。

一番は遠石八幡宮に向かい、当時神社庁総長もしていた黒神直久宮司にお願いした。35歳の若造の話をしっかり聞いてくれて「わかった良いことじゃ。良い新聞社にしてくれ」と応援を約束していただき、目の前で徳機の岡田幹矢社長などに電話してくれた。西京銀行になる直前の山口相互銀行の国広幸彦社長にも初めてお会いした。やはり若造の話にじっと耳を傾けてくれて「今からは若い人が頑張らんと」と快く応援を承諾してくれた。

結局117社、個人の支援を受けて新周南新聞社が設立され、「日刊新周南」の発行がスタートした。出資者の中には、長く「徳山公論」を配達してくれていたTさんもいた。ろうあ者で頑固者だったが、こよなく「徳山公論」を愛していた。1口10万円を持って来られたときには目頭が熱くなったのを今でも鮮明に覚えている。

創刊から1~2年間は、ほぼ社員全員が休みなく働いた。毎日新聞徳山支局長だった橋詰隆康氏を常務編集局長に迎えたが、新入社員全員が未経験者と言う中での新聞製作は過酷を極めた。毎晩深夜は当たり前で、社員のお母さんがおにぎりを差し入れで持ってきてくれたりした。それでも「とにかく一人でも多くの市民に登場してもらおう」と必死で頑張っていた。

あれから40年。果たして「日刊新周南」は進化したのだろうか。内容については変化させようがないこともあってさほど変わっていないと認めざるを得ない。ただ問題提起型の記事は確実に増やしているつもりだ。発表されたことを右から左へただ知らせるだけの記事だけではなく、読者も関係者も一度立ち止まって考えようと意識している。先日の70億円かけてリニューアルする動物園への来園者が減少していることへの警鐘記事は、安直な公共投資への問題提起だと思っている。

変化と言えば一番は電子版のスタートだった。今では電子版上では1カ月に45万回ものアクセスがある。購読まで直結しないが「日刊新周南」への興味を持つ人がかくも多いのかと、わが社自身が驚いている。

いずれにしてもこれまで支えてきてくれた読者、スポンサーに感謝しかないが、他県のような県紙がない山口県では、地方紙が唯一地域の情報を担っている。これからの40年もそうありたい。

(中島 

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