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3市舞台に「菅菅対決」も

　「継承」か「変革」か―23日に投票が迫った衆院山口2区補選は「変革」を訴える無所属元職の平岡秀夫候補（69）と、与党議席の「継承」を強調する自由民主党公認、公明党推薦の岸信千世候補（31）が終盤戦も大接戦を演じている。下松市、光市、周南市熊毛地域で展開されるデッドヒートの最終情勢を追った。（届け出順=山上達也）

主要各紙の情勢分析で両候補過熱

　補選は岸信夫前防衛大臣（64）が体調悪化で2月7日、衆院議員を辞職したことに伴うもので、同日に信千世氏が補選への出馬を表明。自由民主党県連は公募で信千世氏の公認を決定し、公明党も推薦を決めた。

　一方、平岡氏は2区で当選4回、比例復活当選1回の当選を重ねて法務大臣も務め、知名度は高い。しかし政治活動を離れて10年たっている上に出馬表明も3月20日と遅く、貴重な支持基盤だった連合山口の支援も今回はない。

　このため盤石な支持基盤を持つ岸氏の優勢が告示直後まで伝えられ、平岡氏の支持拡大は限定的と見られた。

　しかし告示5日後の16日付朝刊の主要各紙の情勢分析は、朝日新聞が「岸氏ややリード」と報じた以外は「接戦」「互角」「伯仲」「横一線」などと紹介。この日を境に両陣営の運動は過熱してきた。

　応援弁士も多彩。首相経験者の自由民主党の菅（すが）義偉氏が岸候補を▽立憲民主党の菅（かん）直人氏が平岡候補のマイクを握って「菅菅対決」の一面も見せた。

平岡候補、岸候補が接戦展開

平岡候補　小規模集会積み重ねて支持拡大

　平岡陣営は16日に下松市のほしらんどくだまつで約150人▽16日に光市の光井コミュニティセンターで約50人の個人演説会を開き、17日は周南市熊毛のミコー呼坂店前での街頭演説を約100人が聞いた。

　下松では山田正彦元農林水産大臣や伊波洋一参院議員らがマイクを握り、熊毛には菅直人元首相や岸真紀子参院議員が来援した。

　平岡候補は「2区は安全保障政策やエネルギー問題など我が国の政治課題が詰まる日本の縮図の選挙区。ここで私が勝つことで皆さんの暮らしを守り、安全を守ることにつながる」と支持を訴えた。

　かつてのような連合の支援がないため、参加者は平岡候補の個人的な支持者とその関係者が中心。しかしそれが支持を地道に広げる基盤になっている。平岡候補が顧問の立憲民主党県連の有志や、5野党県組織などの「市民連合@やまぐち」も側面支援を展開する。

　半面、下松市や光市など選挙区西部に事務所がないため活動の展開に限界もある、陣営は「手を抜いた方が負ける」と引き締め、10年ぶりの国政復帰に全力を挙げる。

岸候補　自公両党の支持基盤を引き締め

　岸陣営は13日に周南市のゆめプラザ熊毛で約200人▽15日に下松市のスターピアくだまつ前と光市の市総合体育館前で各500人▽18日は下松市のほしらんどくだまつで約350人の個人演説会を開いた。14日には下村博文元文部科学大臣▽15日は菅義偉前首相▽18日は山谷えり子元国家公安委員長が来援した。

　16日以降は陣営が引き締まり、各会場では岸候補の法定チラシのほか、期日前投票を促す独自のチラシを配り「期日前票」の獲得を進めている。公選法の規定で、期日前投票チラシには岸候補の名前や写真は載せていない。

　18日の下松での個人演説会で岸候補は「地域の声を聞き、大きな課題に情熱を持って取り組む」と強調。公明党県本部副代表の上岡康彦県議もマイクを握り、選対本部幹事長の守田宗治県議は「信千世候補は人柄、若さとも申し分のない人材。相手候補を勝たせるわけには絶対にいかない」と一層の支援を求めた。

　終盤戦も企業や各種団体など自民、公明両党の支持基盤を一層引き締めて、岸候補の初当選を確実にする。

期日前投票は低調

　県選管によると、16日現在の期日前投票の投票者数は、下松市1,579人（投票率3.35％）▽光市1,147人（2.71％）▽周南市熊毛地域185人（1.47％）。前回同日比で下松市0.37％▽光市0.33％▽周南市熊毛地域0.19％と低調だ。

　投票は山間部や離島など一部の投票所を除いて23日午前7時から午後8時まで。深夜までに大勢が決まりそうだ。