2024年05月21日(火)

コラム「一言進言」

PFI方式は地域のためになるか?

〜行政マンの立案力はどこで育てる〜

最近国が推進しているのがPFI方式と言われるもので、地方の公共施設を民間が建設する仕組みだ。完成後は請け負った会社がその施設を管理運営する。運営するお金は、建設費用も含めた形の管理運営費を行政からもらう形だ。要するに一時的に建設費を立て替えるが、運営で生じる利益がいわば延々と発生する仕掛けだ。建設費もしっかり回収できる。

典型的な例が周南市の新南陽学校給食センターだ。実質的な運営会社は横浜市に本社を置く「ハーベストネクスト社」が主体だ。全国に学校給食の事業を展開している会社のようだ。地元企業と共同企業体の形式だが、事業による収益は横浜の本社が吸収する仕組みだ。給食の本体事業は同社で、清掃などまわりの仕事は地元業者が参加している。

この学校給食センターのアドバイザリー委託料として、今、周南緑地の整備事業を担当している企業で、現在は指名停止中のパシフィックコンサルタンツに2,145万9,600円が支払われていたこともわかった。そもそも学校給食センターは子どもたちの食育に最も大切な事業だ。本来は各学校に給食室を設置し、顔が見えるところで運営するのが理想と言われている。基本計画は見てないが、地域の子どもや保護者とどうつながって運営することになっていたのか。

以前、別のセンターで地元のしょう油メーカーが給食用に、1本10円高いからと全国メーカーにとって替わられたと嘆いているのを聞いて、給食センターに聞いたことがある。しょう油は地域の味で、家庭はともかくせめて学校給食には地元のしょう油をと訴えたことがある。しばらくして地元のしょう油に戻ったと聞いた。

今年度から市内の学校給食センターの調理がすべて民間企業にまかされることになる。献立は市の栄養士が作っているが、例えば福川漁協のエビのかき揚げは絶品で、地域の誇りだ。年に何回か食べているだろうかなど心配する。市外の企業が、営利が目的で給食を作っている今では文句も言えない。アンケートを取って満足度を聞いているようだが、地域の大人たちの思いは違うかもしれない。

国はしきりにPFI方式を押し付けるが、全国チェーンの会社が作る給食の味はどうだろうか。地域の味は出せているのだろうか。全国どこの学校の給食も同じ味にならないだろうか。地域の大人たちとしっかり話し合いができていただろうか。都会のコンサルタントに頼って多くの事業が進んでいる。

周南市らしさ、新南陽らしさ、櫛ケ浜らしさはどこで伝えているのだろうか。儲かったお金はしっかり都会に吸収されている。全国の地方自治体が、国に従ってPFI方式を採用している。それも同じようなコンサルタントによるアイデアでだ。金太郎飴のような給食センターや、まちづくり、スポーツ施設にならないか。

行政マンから考える力、立案する力、地域と連携する力をなくすことばかり考えているように見える。PFI方式はお金がどうにも作れない最後の手段だ。

(中島 

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