2026年06月25日(木)

コラム・エッセイ

No.17 昨年の新聞に取上げられた国内10大ニュースをみて思うこと…平和ぼけで切実さが感じられない

独善・独言

 A表は昨年の「国内10大ニュース」を❶新聞の読者が選定したものと、❷の新聞社が選定したものを、選定順位の高いものから並べたものである。ふたつを比較する過程で気づいたことをいくつか。

 ❶の読者の選定で際立つのはワイドショー的な安直な視点である。確かに新聞を詳しく読む層は、ましてや新聞社に投票までしようとする層は限られており、❶の選定が国民の総意とは言い難いが、あまりに切実さが欠如していないか。

 気になるひとつは黒塗り表示の“喜び事”が上位5位に3項目もあること。❷の5位内ではゼロであるし❶の1位のWBC優勝は❷ではトップ10にも入っていない。

 ふたつは生活実感に関してである。❶では事件には興味を示してはいるが、❷で3位にランクされいる経済や景気については取上げがない。この㊀コロナ自粛のなかで、㊁格差が広がったなかで、㊂賃金が上らないなかで、㊃紛争や円安により物価が高騰するなかで…そのような環境下にありながらと思ってしまう。さらに、2万5千人もの声を聞いた読売新聞においては、当然上位ランクされると思った「ガソリン価格過去最高、物価高続く」という選択は15位にとどまっている。

 この無風平安な国民感情をどう解釈したらよいのか。

 一方、❷の選定について…4位のジャニーズに関しては、報道機関の自戒を含めたものと受け止めた。また、藤井八冠が大谷翔平より上位であることは“超人度合い”が上とみたのか。❶では4位であった「闇バイト事件」は選定ゼロ、「統一教会問題」に関しても13位5点にとどまっており、本質的な問題と捉えていないということであろう。❶ではゼロだが❷で登場するのは8位の「異常気象」である。これは後述する諸課題以上に今後の重要なテーマになる。もっと上位でもよい。なお、読売新聞の読者選定の過去5年間のなかに「地震」は見当たらない。今年の12月の10大ニュースを予測するとつらい気持ちになる。

 もうひとつ❷で気になること…今我が国はロシア・ウクライ紛争によってこれまで“見て見ぬふり”をしてきた諸課題に革命的対応を迫られているとみている。軍備負担増、エネルギー確保、食料安保、少子化に高齢化、そしてそれらを包括した根源的課題である財政再建…これらの項目がトップ10に見当たらない。起こったニュースから選定するという性格上致し方ないのかもしれないが、そんな平和ボケで済むのかと思ってしまう。

…がどうでしょうか。

講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com

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