2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

No.26 私話し5・趣味は『歌碑巡り』。天城も小樽も塩屋岬も竜飛岬も千曲川も…ロマンがあふれている

独善・独言

 趣味は何かと聞かれたら歴史探訪と歌碑めぐり(歌謡曲と童謡が主)と答えている。よって私は海外旅行を好まない。今回は私の歌碑めぐりと題して記述をしたい。

 私が勝手に国内5大歌碑と思っているものがA表。いずれも歌の趣とその場所の眺望や雰囲気が一致する…私なりに表現すれば「歌がその風情に染み込んでいる」…そのような感覚になるような地に建つ碑文である。ロマンとノスタルジーがあふれてきて、私は碑前でその唄を口ずさみながら感涙するのである。

 さらに❶~❹はこれも私が勝手に思う戦後の6大作詞家の中の4人(あと二人は青い山脈の西条八十、悲しい酒の石坂美由紀)であり、吉岡治、星野哲郎と山口県生まれの2人が含まれていることにむやみな感動を覚えるのである。

 作詞作曲家や歌手の記念館めぐりも楽しい。古賀政男の大川市と東京渋谷、古関祐而の福島、阿久悠の明治大学構内、野口雨情の北茨城市、吉幾三の五所川原…数あるなかで最もロマンを感じたのは信州中野市にある作詞家高野辰之記念館か。故郷、朧月夜、紅葉、春の小川…周囲はこれらの唱歌が今にも浮かんできそうな山里である。この高野も中山晋平もあの小林一茶も、さらに現代のトップ作曲家久石譲も同郷であると聞くと、千曲川の詩情が彼らを育てたと、またも勝手に思い込んでしまう。

 そして、すべての記念館で一番に設備が充実し一番に感動を与えるのは周防大島の星野哲郎記念館であろう。これは身びいきではない。未だ当館を一度も訪れたことのない、その価値がわからない山口県民を“非県民”と呼びたいとひそかに思っている。

 周南地区には歌謡曲や童謡の記念碑は少ない。しかし、私なりに注目している句碑が3つある。

 B表❻与謝野鉄幹の歌碑は風雪にさらされて碑文が読みづらい。20歳前後の何年間、徳山女学校の教師であった鉄幹の女生徒達とのロマンスなどは、今や知らなくてもよい話しなのかもしれない。

 米泉湖の句碑の数々はダム湖と調和している。誰が発想し誰が金をだしたのか。ここには星野哲郎の「山」の歌詞が自身の骨太の筆で記されており嬉しいが、30年前にみた❼の句は湖で生家を失った方の悲哀が胸をうつ。

 ❽は下松市の郷土史家、田村悌夫氏が自費で建立された句碑である。若い頃は無知で悪事を働くこともあるが歳を重ねるとともに世に中の善悪が判るようになり最後は無垢になって成仏するのだ…という山頭火の死生観を句にしたものだと聞くが、むしろ氏の市民に向けた郷土の歴史への共感を熱望するメッセージと私は受け止めた。

 ❶…吉岡治と作曲家弦哲也が泊まり込みで歌をつくりあげた隠れ宿「白壁荘」に部屋をとり、浄蓮の滝から流れる水音を聴いた。❷…なかにし礼はニシンが獲れなくなった寂寥感を見たこともない笠戸丸の不幸な船歴に重ね合わせた。❸…太平洋の彼方、豆粒のようにしかみえない貨物船が物悲しく迫った。❹…風の強く冷たい夕方の岬であった。備えてあった石川さゆりのミュージックボックスからの声もちぎれた。❺…島崎藤村の「千曲川旅情」…『暮れ行けば 浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛』の世界であった。

 私のロマンは尽きることを知らないが皆様の理解は得られるであろうか。

…どうでしょうか。

講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com

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