コラム・エッセイ
№27 歴史考3・女性の参政権もない国に…日本を救ったGHQ革命のすさまじさとありがたさ
独善・独言一昨年6月、日経新聞最終ページ欄…それぞれの分野で頂点をなした人物の自伝「私の履歴書」に住友林業㈱元社長矢野龍氏が登壇した。矢野氏は満州からの引揚げ者で、中学に入る昭和30年頃まで畳の上で寝たことがないという極貧の戦後を生きる。北九州大学で学んだ英語と藤吉郎的俊敏さを武器に、老舗企業のトップにまで出世した。
氏が私と同じ中学、高校(厚狭高)の同窓という関りでおつきあいがあったこともあり、この欄に登壇したサクセスストーリー人間に興味をもち分析してみた。
私の履歴書には一昨年6月までに876氏が登壇、うち326人が経済人であった。その326人を❶家にも世間にも武家気風が残存していた明治30年生まれまで…青年が坂の上の雲をつかもうとした時代、❷その後、富国強兵に成功して世界へはばたく人材養成のための戦前教育を受けてきた昭和初期まで、❸昭和6年以降生まれで青年時から戦後民主教育を受けた世代…の3つの時代に分けて生家の職業や最終学歴を元に分類、分析をしてみた。A表参照。
そこで❸の戦後時代に関していくつかの気づきがあった。
㊀生家の職業構成比に地主、素封家といういわば土地持ちの特権階級の比率が大きく減少してきた。
㊁会社員や教師の家庭からが❶の4倍に増加する。
㊂地方大学を含め大学卒の構成比が増してきたが東大に関しては激減している。
㊃一方、松下幸之助に代表される徒手空拳、丁稚あがり等の教育を受けていない立志伝的人物は減少。
㊄女性が2名登壇した。それまでも芸能人や文化人は取り上げられたが、こと経済人となると一人も対象になっていなかった。
以上の劇的ともいえる変化の要因は何か…私は1945年から始まった『GHQ革命』と考える。
革命とはそれまでの絶対的権威や規範を根こそぎ否定した出来事を差す…私は日本の歴史のなかで最大の革命といえば、明治維新以上にGHQの6年間にわたる日本統治をあげたい。そしてそれを『GHQ革命』と表したい。
GHQがなした革命…農地改革による地主社会の崩壊(=素封家の衰退)、財閥解体、華族制度の撤廃、男女共学ほかの教育改革、陸海軍解体と戦争放棄、女性解放と参政権…日本は自由と民主主義をGHQという他人からの強権によって一気に獲得できたということ。なんともすさまじく、ありがたい革命であった。
その革命の成果を証明するものとして先の「私の履歴書」の登壇対象の変化をあげたい。
❸の㊀戦後教育を受けた、㊁門閥という従来の立身の基盤から超越した、㊂学べば出世の道も開けることを確信した…いわば“GHQ革命の申し子”ともいえる人物が多く登壇することに結実したのではなかったか。彼らが日本復興の原動力となったのである。
祖国や家族のためにという多くの青年戦死者の思いに、GHQ革命という予期せぬ形ではあっても、民主主義国家として生まれ変わったのだと報告することができることにホッとする思いになる。
…がどうでしょうか。
講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com
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