2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

№47 オリンピック考① 北口榛花選手、佐藤大宗選手が拓いた新たなフィールドに歓喜。さらに続け。

独善・独言

 パリ五輪で見過ごせないと思ったことをいくつか書きたい。偏りのある視点をご容赦いただきたい。

 ①一番は北口榛花選手、日本人が陸上競技で金メダルを獲得できるとは。

 前稿で体重別のないパワー勝負の種目では、練習方法、コーチング技術、相手分析能力、ゲーム戦略を含めたテクニック=「技」が体力、フィジカル、瞬発力などで表現されるパワー=「力」を凌駕することには限界があると主張した。さらにやり投げは“走る、投げる、泳ぐ、倒す”という狩猟民族固有の原始的な流れにある競技である。このようななかでの金メダルである。日本人の体力が未開の地を開拓したという思いをもつ。

 ②原始的といえば“キングオブスポーツ”と評される近代五種での佐藤大宗選手の銀メダルである。なじみがないため正しい認識にはほど遠いが、ナポレオン時代の勇敢な兵士の故事にルーツをもつとか、五種目をたった1日で行うとか、まさに欧州民族伝統の体力勝負の競技である。国内の競技人口は50人程度と聞く。そのようななかで欧州人に伍して日本人がメダルに届くことを予測した事情通がいたであろうか。

 ③一方、今回も技をもっても力の前に屈した種目もある。“フィジカルスポーツ”の代表であるバスケットやサッカーは男女ともベスト4に届かなかった。バレーボールも同様、テニスやラグビー、ボクシングなどは競技が行われたことさえ知らなかった。

 バスケが象徴的あろう。相手を押しのけて得点する、ゴールポストの前で相手ボールを競りとる…そのような八村塁選手や渡邊雄太選手のプレーよりは、巨漢をすり抜けることで評価があがった河村勇輝選手が目立つようでは勝負になるまい。
 しかしである。放送では「身長では劣る」と紹介されていた188センチの西田有志選手の胸をすくパワーアタックをみていると、もう少し、もうちょっとで体格優位民族に追いつける、パワーの差をテクニックで埋めて互角に戦えるようになると期待したくなるのである。

 ④阿部詩選手の号泣に賛否があるが、相手選手のコメントを聞かれたか。『彼女は完璧なチャンピオンです。彼女をとても尊敬しているから試合がすべて終わるまで喜びの表情をだしたくなかった』。さらに、B表の韓国の卓球、申裕斌(シン・ユビン)選手の勝者を讃える談話を読んでほしい。それでも阿部選手に同情するかと問いかけたい。

 今回は雄たけび、ガッツポーズの派手なパフォーマンが行き過ぎに思えた。池谷幸雄は「アスリートは休まない」と選手の努力を強調したが、休まないのは経営者も政治家も研究者も、そして多くの国民も同様ではないか。「休むことがこわい」という表現なら判るが…。

 過酷な鍛錬に耐えてきた選手の努力には敬意を表するが、それ故に『自分はここまで努力したのだから』という甘えがあるように感じてしまう。勝敗に関わらず相手をリスペクトするという姿に戻ってほしい。

⑤ジャッジに関してもひとこと。AI導入が進展することは賛成だが、それでも審判の個人判断の余地は残る。そこではあいまな判定を前提にした取り組みがなされて当然になる。“きわどい場面”を招いた責任は自分にある。「負けに不思議な負けなし」である。逆の判定がでれば今度は相手に不満が生じる。“命がけ”で闘っているのは日本人ばかりではない。

…どうでしょうか。

 次稿もオリッピクに触れます。

A表:卓球・韓国シン・ユビン選手の談話
 勝って泣き崩れる早田選手に真っ先に近寄って祝福した後…これが私の実力で最善。もっと頑張りたい。早田を長い間見てきた。一生懸命に頑張って真剣に試合をしていた。そんな部分を認めてあげたかった。私がもっと強い選手になりたいという一心で抱きしめて祝福の挨拶をした。私に勝った選手は私より長い間黙々と、努力した選手たち。そのような点を認めて学ばなければならない。私もより長い期間、黙々と練習しなければならない。

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