コラム・エッセイ
№59 地方自治考5・市町の事業は時代の要請でどんどん積み重なる。 先行する市町がでてくると対応を迫られる。財源さえあれば…
独善・独言前稿№46で紹介した石丸伸二前市長時代の安芸高田市2024年度予算編成方針の一部を再掲載する。
『今後公共施設の削減を進めることができなければ市の財政運営は立ちゆかなくなる。持続可能な財政運営のためには、公共施設やインフラの適正配置、受益者負担の適正化、市のコンパクト化など人口減少時代に応じた行財政改革が急務である』…全国の市町でここまで直接的に市財政の窮乏を訴えた例は少ないと思える。
別の話し。10年前訪問、面談した財政破綻した夕張市の鈴木直道市長に一番気になっていることは何かと訊いた。『水道管の整備が進めたいけど進んでいない。いつ破裂するかとヒヤヒヤしている』と悲痛に語った。
A表❶は2022年度決算の県内の「財政力指数」である。これは単純にいえば経常的収入を支出額で割ったもので自治体の財務状況をシンプルに示すものとして財務分析で最も優先される指標である。
B表は都市データーパックが判定した「財政健全度ランキング」である。これはA表の財政力指数を含めた財政関連20指標をもとに算出したもので説得力ありと考える。
これをみると以下のことが判る。
⑴上記安芸高田市や財政破綻した夕張市がAB表とも最下位レベルにある
⑵周南3市はいずれも県内平均より良好でかつ全国レベルでもマシな方であるといえる
⑶県内の不良順位はAB表ともに長門市、萩市、美祢市…全国ワースト100以下の不良レベルにある
⑷10年前比較の県内平均順位はA表では悪化だがB表では良化…私は各市が必死に財政改善に努めていることがB表の良化に示されているという私見をもっている。
地方の自治体共通の重要課題は人口減であり子育てであり「誰一人見捨てない」という福祉、そしてそれらを包括した財源不足である。
課題は時代の要請でどんどん積み重なる。学校の冷房整備、学生の医療の無償化はほぼ各市町が対応してきたが、新たに給食の無償化が浮上する。水道の老朽化や耐震化対応などもまだ手付かずの市町は多かろう。寿命が尽きそうな公共施設はどこにもあふれている。
C表のとおり。ここ9年の県内13市合計の地方税の増加が21億円に対して、扶助費は316億円増と収支バランスは著しく崩れている。
不足する財源は交付税や補助金、借入金という“他主財源”に依存せざるを得ないが、それら案件の決済権限は国や県が握っていて地方自体の裁量に制限がある。
103万円の壁が撤廃されることを歓迎する。だがそれによる税収減は必ず自治体財政にマイナス作用する。国でも県や市でも新たな事業を提案する場合には、併せてそれなりの財源確保を前提に起案してほしいと思ってしまう。
…どうでしょうか。
交付税ほかは次稿以降に触れたい。
講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com
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