2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

№61 地方自治考6・小手先の人口増加策の効果は限定的。過疎は進む。人口減を覚悟した対応に転換すべきでは

独善・独言

annno.jpg A表は思想家内田樹の人口対策への見解である。やや極端と受け止めたいが、B表のここ30年間の人口推移から首都圏と山口県の動向をみると、その主張があながち突飛でもないように思えてくる。

 首都圏の集中が加速してきた一方、本県の減少率は全国ワースト10の減となっている。さらにD表「人口問研究所」の2050年の推計人口をみてみれば愕然とする思いにならないか。

 政府はこの10年間、2兆円近い金を地方創生につぎ込んだという。地方自治体も転入促進、出生援助、不妊症支援、子育て応援、挙句は男女のマッチング事業まで競争のように対応してきた。確かに子育ての岡山県奈義町、半導体の熊本県、ふるさと納税の都城市ほか成功事例もいくらかみられるし、「街おこし隊」として地域の賑わいに貢献しているありがたい存在もあるが、人口増の観点を大局でみれば、数字上はすべての施策が空回りしてきたといえないか。

 我が山口県の人口動態をみると、①B表⇒30年間で15%の減、②C表⇒ここ10年間、自然増減(出生者数-死者数)も社会増減(転入者数-転出者数)も毎年減り続けている。③D表⇒後期高齢者比率全国3位、平均年齢全国7位を誇る?老人県であるからか、30年後の推計人口31%減は全国でもワースト7位となっている。

 E表は山口県と市町が推し進める首都圏からの移入促進のために6年間実施してきた移住支援金制度の実績。この数値を皆さまはどう受けとめられるか。とても将来の人口増に手ごたえをつかんだというような状況ではあるまい。

 国も各地公体も山口県も多くの事業に投資を続けてきたが、成果がでなかった…ここ30年は強烈に表現すれば“カネをドブに捨てた30年”ではかったか。

 そこでどうするか。世間でいわれるように⑴移民を受け入れるか、⑵省庁移転⇒それも省庁の課以下の組織を人口5万人以下の市町村に強制分配するか…そのような大胆な施策を実施すれば「チェンジ」があるかもしれないが、あてにはなるまい。結局どんな手をうっても人口減は避けられないという共通認識のもとに、⑶今実施している人口増のための投資を“革命的に取捨”する。⑷将来の最低人口レベルをにらみながら主要施策を“革命的に集中”する、⑸市町にまたがる事業はコスト意識をもって“革命的に統合”する…そのような「チェンジ」を求めたい。

 交通弱者や空き家への対応、農業の担い手不足、耕作放棄地、医療福祉機能の充実、働き場の創出、そして税収不足カバー…前京都府知事山田啓二氏は「人の奪い合いでは意味がない。これまでの非効率な対応を見直し集約や連携、共有がなければ人口減には対応できない」としている。強く同意する。

…どうでしょうか。

 次稿で山陰3市1町を例にあげて“革命的具体策”を展開したい。

講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com

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