2026年05月01日(金)

コラム・エッセイ

No.69 久原房之助翁、小平浪平翁を主役に明治、大正の企業者群像を取り上げる大河ドラマができないか

独善・独言

 1月16日、久原房之助翁、小平浪平翁の顕彰をテーマに久原翁の旧宅である東京白金台の「八芳園」で関係する右表の3市1町の交流会が開催された。

 当日の内容に関してはわざわざ上京し取材いただいた新周南新聞社、山上達也記者の1月21日付の本紙記事に詳しいので省かせていただくが、私は別の観点で2つの紹介をしたい。

 ㊀一つは参加市町に関して。

 ①秋田県小坂町はA表藤田傳三郎(藤田財閥創始者、先祖は下松市在)が起こした銅山で栄えた町。銅山が閉鎖された現在は、その系列の「DOWAホールディングス」が電子金属のリサイクル事業を行っていて盛況。それは銅精錬の技術が生かされてのことという…ホットする思いになる。 ②今の時期は町内の十和田湖西半分の湖畔も、初夏に一斉に白く咲く300万本のアカシアも、1㍍を超す雪に埋まって春を待っているそうだ。 ③工場長として派遣された久原翁が厚生施設として建てた「康楽館」は今も現役。元館長は「最も印象に残っているのは板東玉三郎の歌舞伎大芝居だ」と懐かしまれていた。ただの田舎の芝居小屋ではない。

 ④日立製作所創始者小平翁の生家は栃木市合戦場というそれだけでロマンを感じる場所にある。関東平野の北限に位置していて山がない。⑤謡曲「いざ鎌倉」をご存じか。ネットでみてほしい。小平翁の家系はその関東武士佐野源左衛門の末裔であるという。 ⑥日立製作所栃木工場の社会人チームが前身の「栃木シティフットボールクラブ」は今回J2に昇格した。レノファと直接対戦する。さあ日立マンはどっちを応援する。

 ⑦日立市は予想に反して海に向かって山が迫っていた。徳山の風景に似ているが、企業は久原翁創業の日本鉱業(現JX金属)と小平翁の日立製作所に二分される。

 ⑧映画になった「ある町の高い煙突」…山の頂上の155㍍の煙突から流れるゆうゆうたる煙は市民にどれだけの勇気を与えただろうか。⑨日立市民の知人が「久原翁の山をみる力に感謝する」と言っておられた。久原翁という存在がなければこの町はどんな風景になっていたのかと、風雨で倒れて3分の1になった煙突を見上げて感慨にふけった。

 ㊁二つめの視点は人物像である。

 ⑩日露戦争後の日本の勃興期にその時流に乗って強い自己実現の意志をエネルギーにして自らの夢をつかんだ⇒“坂の上の雲”をつかんだ明治、大正期の企業者群像…彼らはその代表選手ではなかったか。⑪彼らの事業は久原翁の鉱山開発、小平翁の電気発動機、鮎川義介の自動車と我が国では未開の分野であったこと。その創造の世界にどんな苦難があったのか。

 ⑫そんななかで彼らが始業した事業とそれから派生した企業群は財閥解体を経た現在も見事に継続されている。 ⑬久原翁に限れれば…小坂での製錬新手法の開発、日立山に有力な鉱山資源があると見抜いた眼力、成否の不確かな煙突への大規模投資、下松に今までにない規模の理想工業都市を作ろうと目論んだこと、そして世界鉄鋼不況を前に撤退を即断したこと等々…“経営者としての決断”おそるべし。 ⑭以上、彼らに成功の岐路を学ぶ、時代の歴史を学ぶ、企業の軌跡を学ぶ…これらに強い価値がありはしないか。私が彼ら明治、大正の企業者群像を主役とした大河ドラマを夢見る由縁である。⑮そしてその実現のために今回の八芳園参加の出席者の人脈に頼りたい、報道からの広がりに期待したいと思うのである。

 ㊂今回の催しを実施して無から有を呼び込もうとしている下松商業開発は3月28日から4月6日まで下松市内で交流事業を計画している。ぜひ、興味をもっていただき、ご参加いただきたい。

…どうでしょうか。

講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com

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