コラム・エッセイ
No.22 たけのこの里
ねえ、ちょっと聞いてよ! 予備校講師 長谷純子こんにちは。受験生は共通テストを終えて、次の関門である私立大学受験や国公立二次試験に向けて胃の痛い時間を過ごしていると思います。困った時の神頼みではないですが、毎年この頃は一人でも多くの受験生が4月を笑顔で迎えられますようにと願うばかりです。
今回は「たけのこの里」がテーマですが、けっして某会社のチョコレート菓子ではありません。現在、山口県でも深刻化している「里山の竹林化」についてです。なんだか難しそうですが、所詮私が書く内容なので、オチは簡単です。(笑) ちなみに里山とは人々の生活に結びついた山や森林のことです。対義語が「深山」なので、基本的に私たちの生活圏から見える山は里山と思っていいと思います。
ここ十数年山口県の山を眺めていて、竹藪が増えたと思ったことはありませんか? 平成24年の林野庁統計によると都道府県別竹林面積ベスト5は ①鹿児島県 ②大分県 ③福岡県 ④山口県 ⑤島根県です。ベスト10になると、宮崎県や熊本県、他には千葉県や京都府、岡山県も入りますが、基本的に西日本です。このことは以前から知っていたのですが、最近理由を知りました。竹って温暖で湿潤な環境を好むらしいです。まさしく西日本ですね。また、全国の筍の栽培林面積の60%以上が九州地方なんだとか。
ちなみに福岡県、鹿児島県、熊本県は2022年の筍の収穫量ベスト4に入っていますし(他は京都府)、大分県は11位、宮崎県12位、岡山県は14位に入っています。つまり、農産物としての筍を収穫するため竹林、ある意味、管理された竹林の面積が大きいのだと思います。ここで ? マークが浮かんできませんか。山口県はどこいった? と。山口県は21位でした。
竹林面積が大きいのに筍の収穫量が意外に少ないということは管理されていない放置竹林が多いと推測されます。この放置竹林では土砂崩れ等の災害が起きやすくなります。樹木は根を地中深くまで伸ばすけれど、竹は地表50センチくらいの場所で根を横に伸ばしていくため、降雨で地表が流出すると土砂崩れが起きやすくなるんです。だから、里山の管理、つまり、放置竹林の削減が大切なんですね。このこともあって、山口県は平成17年から森林整備を目的とした「やまぐち森林づくり県民税」を導入しています。一人当たり年額500円です。が、放置竹林を少なくする方法は他にもあります。
春に山口県産の筍を食べるんです! ほら、やっと私らしい内容になってきましたね。スーパー等で時期になると売り出される県産の筍を積極的に食べれば、売れるなら筍をもっと収穫しよう! となって竹林整備に繋がる可能性が高まるわけです。筍は土佐煮にして和風、フライパンで焼いてバター醤油で洋風、バジルソースでイタリアン、あ、筍ご飯もいいですね。実は料理勝手のいい食材です。父が元気な時は親戚の山へ掘りに行って、ほぼ1カ月筍三昧が我が家の定番でした。今ではスーパーで見かけた時に買うだけになりましたが。
県産の筍を食べるだけで地域貢献、災害防止。今年の春はぜひ筍を例年より少しだけ多く食べてみませんか?
