コラム・エッセイ
No.29 ところ変われば……
ねえ、ちょっと聞いてよ! 予備校講師 長谷純子こんにちは。今年は11月になっても気温が30度を超す日があるらしいですね。まだまだエアコンとご縁が切れそうにない……高い電気代ともご縁が続きそうで家計を考えると頭が痛くなります。
ところで。私の仕事は毎日同じ場所に通うのではなく、ほぼ毎日職場が変わります。移動の多い時は、昼間と夕方で職場が変わる曜日もあります。職場の大半が九州地方で、年度によっては毎週沖縄県に通っていたこともあります。
九州内の鉄道には結構乗っていて、高等学校への出張授業といった変則的なスケジュールの時に大分駅から熊本駅まで九州横断特急に乗った際には、急こう配をスイッチバックで登っていくという体験をして思わず“おおっ”と感動の声を上げたこともあります。基本的には新幹線の長距離通勤ですが、全然苦になりません。自分では自覚はなかったのですが、ちょっとだけ乗り鉄の気(あくまでも「気」です、「気」)があったようです。
あちこちへの長距離移動が苦にならないもう一つの理由は多分「食(酒?)」にあると思います。仕事先で遅くなった時や講習会などで宿泊した時には、その地元の食材を使った料理や地酒、焼酎をちょっと(日本酒2合くらいはまだ「ちょっと」の範疇ですよね?)味わって帰る楽しみがストレス発散になっています。
で、面白いなあと思った料理の一つが熊本県と大分県のだご汁です。私は勝手に小麦粉を練って入れた豚汁と思っているんですが。同じ名称でも、だご汁の「だご」が大分県ではきしめんの大親分みたいな形状で、熊本県は団子を潰した形状と違うんですね。「だご」が違うだけでだけで別料理のような感じになるんです。
鹿児島市に行っていた際には、市の魚メインの飲食店さんが深海魚を「推し」ているようで(ポスターが貼ってあるんです)、山口県では聞いたことのない、脂ののった深海魚の刺身が本当にたくさん出てきて、毎週、幸せでした。仕事に行っているのか、お刺身を食べに行っているのか訊かれると、正直答えにためらってしまいます。
このように場所が変われば食も様々なんですが。同じ料理名でもこんなに地方によって違うんだ〜と感心したのがお雑煮です。母の作るお雑煮はいりこで出汁を取ったすまし汁の中にほうれん草、大根、金時人参、かまぼこ、しいたけ、鶏肉、お魚のぶり、お餅が入っています。ぶりが入るのは、母が昔、光市育ちの父の食べていたものだからと言っていた記憶があるので、そのあたりの地域のレシピだと思います。特に父は光市東部の漁港近くで育ったので、お魚が入るのかなと。光市出身の方々、お雑煮はどんな感じですか?
ちなみに、私は大学に行くまでこれが全国共通だと思っていました。が、その後、京都市で白みそ仕立ての汁にお餅だけがドカーンと入ったものや四国で赤だしにあんこ餅が入ったものなど意外性たっぷりのお雑煮を食べる機会があり、そのたびに初見で絶句して固まっていました。
今ではテレビ番組の「秘密のケンミンshow」などで地方色豊かなお料理が頻繁に紹介されるようになったので、お料理が地方で異なるのは「あるある」の話ですが、30年くらいから40年くらい前の情報が少ない時代のことなので、本当に驚きでした。
今の時代、食もグローバル化して画一化する傾向にあるようですが、地方の食の豊かさは残していけたらいいですよね。というか、残していきたいですよね。だから、これからも飲食店でできるだけ消費の面で協力していこうと思うのでした。(完全に外食の口実ですね)
