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【周南市・下松市・光市】免税に留まる歯科技工士など 混乱のインボイス、あれこれ
経済その他今月1日から消費税のインボイス制度が始まった。消費税の納付が免除されていた年間売上高1千万円以下の事業者は、これまで通りの「免税事業者」と新たに納税義務を負う「課税事業者」のいずれかを選択。免税事業者のままだと売上減少や値引きの懸念があり、課税事業者を選べば納税のほかに追加事務が発生する。制度開始後、関係者から話を聞いた。
インボイスの正式名は「適格請求書」で10%と8%の2つの消費税率に区分して取引金額、消費税を明記した請求書や納品書、領収書などが該当する。商品の販売業者、サービス、役務を提供する業者は税務署にインボイス発行事業者の登録申請をして登録番号を取得し、「課税事業者」として販売先などにインボイスを発行する。
消費税の申告では、売上に係る税額から仕入れに係る税額を控除して納付額を計算するが、10月1日以降インボイスは、税額控除に必須になった。免税事業者のままインボイスを発行しない場合、税額控除できないことを嫌う仕入先が取引を見直すことも考えられる。
徳山商議所によると、同商議所が確定申告を支援している個人会員は毎年100〜150人で、免税事業者はそのうち3、4割ていど。これまでに受けた相談や聞き取りなどから、免税事業者の9割以上はインボイスの発行登録をしているとみる。取引先との継続を優先する姿勢が伺える。
他方、これまで免税事業者と取引してきた企業、特に建設業者の中には、下請けの1人親方がインボイス登録をしていなくとも、これまで通り仕事を依頼するところもあるそうだ。消費税の税額控除を受けられないデメリットよりも、下請けに仕事をしてもらえないことによる工事の遅延や未完のデメリットが大きいためだ。建設業界の切実な人手の確保がここでも垣間見える。
そのほか、複数の歯科医院と取引のある歯科技工士の中には、インボイス登録をせず、相手医院からインボイス発行の要請があった場合は取引を止めるケースもあるという。
飲食店は対応様々
会社担当者が飲食店で接待、商談した場合は自社の経費として落とすため店から領収書を受け取る。10月1日以降、複数の飲食店で受け取った領収書を見ると、従来通りの手書き式で登録番号がないもの、レジから発行するが同じく登録番号がないもの、登録番号があるものなど様々。事務負担の重さと会社関係者の多少を見て対応を決めていると思われる。
消費税申告には複数税率に応じた正確な帳簿の記録が必要。さらに個人の確定申告は1月から12月までの暦年単位で、制度開始日の10月1日以降、年の途中で記帳方法が変わる。記帳を代行する税理士事務所には事務負担が増えることから代行料の引き上げを検討中のところもあった。
周南市内の文房具店では10月以降、法律で定めるインボイスの表示内容に合わせた新しい様式の手書き領収書がよく売れていて、束でまとめ買いする事業者もあるという。
14文字の登録番号を印字するスタンプは、インク不要の浸透印タイプが全国で注文が殺到していて、注文から納品まで1カ月待ちの状態。登録番号がない従来の領収書とインボイスを区分しておくためか、クリアファイルの売上も増えたそうだ。
徳山税務署では年内も引き続き、制度の理解とインボイス発行の要否判断のための説明会と相談会を開くとしている。説明会は11月15日(水)と12月13日(水)でいずれも午後2時から3時。相談会は11月22日(水)と12月20日(水)で午後2時から4時まで。11月は電話(0834-51-1119)、12月は(0834-51-1115)で事前予約する。