2021年11月30日(火)

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忍者がノイズキャンセリング! 科学部3人が科学賞県代表に

  • (左から)受賞を喜ぶ久行、斉藤、藤井さん

  • 忍秘伝での些音聞金のページ

 周南市の徳山高(徳田充校長、836人)の科学部に所属する2年生3人が、忍者の道具に関する物理的特性の研究で、第65回日本学生科学賞の県審査で最優秀賞を獲得し、県代表として全国に進んだ。24日に届いた予備審査の通知では、最終選考20校にもれたものの、ユニークな研究として注目を集めた。

 受賞したのは、付属光中出身の久行輝さん(17)と斉藤景さん(17)、周陽中出身の藤井直生さん(17)で、研究テーマは、忍者が遠く離れた場所の会話を聞き取るため、耳のそばにぶら下げて使ったという些音聞金(さおとききがね)という忍具。

 きっかけは同校の理科実験室で目に留まった「忍秘伝」という忍具の説明本で、些音聞金の大きさや使い方などが紹介されていた。一方、遠くの音が聞き取れる原理は解説がなく、忍者の情報収集の道具に科学的な裏付けを与えようと思い、テーマに選んだ。忍秘伝は伊賀忍者の服部半蔵が戦国時代に著したとされる。

 実験に使う些音聞金は、周南市の中村鉄工所が再現した。縦7センチ、横3センチ、厚さ3ミリの真ちゅう製で、将棋の駒に似た形。上部に開けた穴にひもを通してつるしてスピーカーから音を当て、共鳴した忍具から伝わる音をマイクで拾い、オシロスコープで解析した。当初は、忍具が音を増幅するという仮説を立てて実験を繰り返したが、人間の声の高さでは音が増幅せず、理由が分からないため悶々としたという。

 視点を変えて、別の条件で実験をしたところ、些音聞金に鈴虫やセミの鳴き声のような高い音を弱める効果があることが分かった。ヘッドホンに応用されているノイズキャンセリングと同じ原理で雑音を消し、人間の声を聞こえやすくすることを突き止めた。

 久行さんは「実験をする上で、予想した結果が出ない事態に遭遇した時に、臨機応変に考えて実験する大切さを身に染みて感じた」▽斉藤さんは「実験そのものは地味な作業の連続でつらいこともあったが、しっかりと結果が出たことがとてもうれしい」▽藤井さんは「忍具を制作してくれた会社の方、実験を手伝ってくれた科学部の友人、顧問の先生のおかげで受賞でき、ありがたい」と話した。