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【周南3市】勤労障害者と雇用企業たたえて 厚生労働大臣や機構理事長表彰
地域周南市9月の障害者雇用支援月間にちなんで障害者を雇用している事業所や優秀勤労障害者を表彰する厚生労働省の「障害者雇用優良事業所等の厚生労働大臣表彰」の受賞者に周南地域から6人と1事業所が選ばれた。表彰式は9月9日に東京・丸ビルホールで開かれ、優秀勤労障害者として県内で唯一の大臣表彰の下松市の弘木(ひろもく)工業㈱(弘中伸寛社長)の社員、六郎万(ろくろうまん)誠さん(53)らが出席した。
弘木(ひろもく)工業㈱ 「なくてはならない技術者」 六郎万さん、馬場さん・同僚と口話でやり取り
県内で唯一、厚生労働大臣表彰を受けた弘木工業㈱の六郎万誠さんは、㈱日立製作所笠戸事業所で生産する新幹線など鉄道車両の天井裏や床下の配線を担当。高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰を受けた同社の馬場秀幸さん(51)は新幹線など鉄道車両の部品の溶接業務を担当し、ともに同社になくてはならない技術者として信頼を集めている。
2人はともに聴覚障害者で、山口市鋳銭司の県立聾(ろう)学校(現県立山口南総合支援学校)を卒業して同社に入社。六郎万さんは勤続35年、馬場さんは勤続33年になるエキスパートだ。
上司や同僚とのやり取りは、相手の口の動きや表情、文脈から言葉を読み取る口話(こうわ)が主体。それでも難しい場合は筆談やゼスチャー、手話に頼るが、2人は「いつもやり取りする相手とは口話で十分に意思疎通ができる」という。
同社は2人を含めて障害者を5人雇用しており、全社員56人の約1割を占める。弘中伸寛社長(78)は2人について「どんな仕事もきちんと正確にこなす、我が社になくてはならない貴重な人材。同僚とのコミュニケーションも良好」と評価。2人の受賞は近く全社朝礼で披露し、ほかの3人の障害者にも大きな励みになりそうだ。
東京での表彰式に新幹線を利用して出席した六郎万さんは「乗った新幹線が、自分が手掛けた車両なのか気になった」と笑顔。馬場さんは「もっと会社の役に立てるように努力したい」と意気込みを見せていた。
ナカガワシステム㈱ 「働きたい、頑張りたい人の力に」
障害者雇用優良事業所として独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞表彰を受賞した周南市三笹町のナカガワシステム㈱(宗村章社長)は、主にコンビナート企業を対象に構内生産物流業務、運送業務などを手掛ける中川産業グループ。
構内での各種作業、機械操作、重機作業、運送などを請け負っていて、現在は全正社員128人のうち障害を持つ従業員6人と、パート1人を採用して共に働いている。
「障害があっても地域貢献をしたい人や頑張りたいという人を採用し、適する部署内で働いてほしい」という思いで以前から障害者雇用に取り組んできた。3、4年前に障害者支援施設に見学に行った際には利用者が「乗り物に乗る仕事を望んでいる」という話を聞き、実際にアルバイトに来たこともあるという。
仕事先を決める際には複数回に渡るテストや、他の従業員がそばにいる環境を作ることでケガや事故のリスクを抑えるように考慮。従業員たちにもていねいに、大事に接してもらい、何か危険がありそうな場合にはすぐに連絡をするように協力を得ている。
障害者雇用を特別なことととらえずに採用している宗村社長。「他人との関係が薄くなっている中、障害を持っている方やその家族との関係を希薄にせず、社会全体で“働きたい、頑張りたい”人の力になる仕組みが必要」と話している。
障害者雇用表彰受賞者・団体(周南3市分)
★厚生労働大臣表彰
・優秀勤労障害者
六郎万 誠=下松市・弘木工業㈱
★独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構理事長表彰
・優秀勤労障害者
馬場 秀幸=下松市・弘木工業㈱
★同理事長努力賞表彰
・障害者雇用優良事業所
ナカガワシステム㈱=周南市
住化アグロ製造㈱=下松市
・優秀勤労障害者
篠原 敬=下松市・多機能フィルター㈱
内野井辰夫=光市・小川興産㈱
玉井さくら=光市・医療法人愛命会
★同理事長奨励賞受賞
・絵画の部
徳原 望=周南市・社会福祉法人大和福祉会周南あけぼの園