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【周南3市・田布施町】町議選の賛否同数、周南各市にどう影響 各市50キロ圏内の中間貯蔵施設問題
政治その他中国電力と関西電力が上関町に計画している使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設計画で、2日投票の田布施町議選(定数12)では「反対」を掲げた候補6人全員が当選し、「推進」と「反対」がともに6人で同数になった。反対の6人は当面、改選前の議会で廃案となった同計画反対の陳情書の採択を目指す。光市など周南3市への影響の有無が注目される。投票率は前回を5.49ポイント下回る過去最低の52.45%だった。新議員の任期は27日(木)から4年間。
(山上達也)
「速やかに反対決議を」「単に反対派躍進と言えぬ」
同町議会の改選前の勢力は「推進」8人▽「反対」4人。町議選には「推進」から現職8人全員が出馬し、「反対」は現職2人、新人3人、元職1人の計6人が立った。開票の結果、「推進」の現職2人が落選し、「反対」は6人全員が当選した。
得票数では「反対」が6人合計で3,225票(1人平均537.5票)▽「推進」が8人合計で3,173票(1人平均396.6票)。しかも「反対」は大半の候補者が上位当選を果たし、中間貯蔵施設への懸念の強さが現れたともいえる。
この結果に「反対」で元県議の小中進氏(76)は「6人の勝利は町民の声が届く町政実現の第一歩。速やかに反対決議を目指す」と鼻息が荒い。半面、「推進」側の複数の関係者は「反対の6人当選といっても中間貯蔵施設への思いには温度差があるのではないか」、「単に反対派が躍進したとは言えないと思う」とけん制し、様子見の構えだ。
岸氏 vs 平岡氏の得票と構図重なる
周南地域にはどんな影響があるか。反対派候補を支援した光市の仲山哲男市議(66)は「これほど明確に反対の世論が示されたのは大きい。光市でも反対運動の追い風になる」と期待。しかし推進の考え方を持つ市議は本紙の取材に「はっきりとした意見は言いにくい」と言葉を濁した。
この構図は衆院選山口2区では「推進」が自由民主党の岸信千世衆院議員▽「反対」が立憲民主党の平岡秀夫衆院議員の支持層と重なる。昨年10月の衆院選山口2区の田布施町内での得票は岸氏3,750票▽平岡氏3,488票。投票率は町議選より高い59.85%。
中間貯蔵施設の立地予定地は、上関原発と同じ上関町長島の西端の四代(しだい)で、対岸は祝島。ここから半径25㌔圏内に光市が入り、50キロ圏内には下松市や周南市がすっぽり入る。
福島第一原発事故では、放出された放射能が風向きによって30キロを越える範囲に広がった。50キロ圏内では避難や屋内退避の指示を受けて陸上の交通が途絶える可能性もあるとされる。
周南3市にとって「他人事」ではない上関原発と中間貯蔵施設の問題が、今後3市の議会や行政にどんな影響を与えていくのか注目される。