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政治 : 周南市のニュース
【周南市】市内斎場の無料化継続を要望 新斎場有料化方針が波紋
政治周南市下松、周南、光市で構成している一部事務組合の周南地区衛生施設組合(組合長・国井益雄下松市長)が、山口県下松市西市沖に建設して2025年4月の供用開始を目指す新斎場の火葬料を有料化する方針を決めたことから、現在は無料で使用できる周南市の新南陽、鹿野斎場の料金をどうするかが注目されている。市議会予算決算委員会(遠藤伸一委員長)は21日、新南陽斎場と鹿野斎場は今後も無料を続けるべきだと注文をつけた。
新南陽斎場は旧新南陽市が1993年、鹿野斎場は旧鹿野町が96年に建設し、周南市誕生後は全市に利用範囲を広げている。
一方、旧徳山市、旧熊毛町はもともと周南地区衛生施設組合に加入し、市民、町民は下松市の御屋敷山斎場を利用していた。そのため合併して周南市になってからも同斎場を利用できる区域は旧徳山市、旧熊毛町地域に限られ、両地域の住民は無料で利用できる。
両地域を除く周南市の住民が利用する場合は、区域外使用として有料になるが、実際に使用する例はほとんどない。
各斎場の利用件数は2021年度の場合で御屋敷山斎場が1,309件▽新南陽斎場が619件▽鹿野斎場が49件となっている。
新斎場の利用料金は同組合議会で決めるが、鹿野、新南陽斎場の料金は周南市が独自に決めることになる。市議会の一般質問の答弁では、新斎場完成後の市内斎場の料金について市は検討中として明らかにしていないが、このままでは、周南市では使用する火葬場によって料金が無料か、1万円を支払うか、分かれることになる。
21日に終了した予算決算委員会では決算の認定の際に「新南陽斎場と鹿野斎場の無料化は継続されたい」とする意見が付された。
斎場利用者は増加傾向予想
新南陽斎場と鹿野斎場は同じ業者が指定管理者として運営し、市は指定管理料として21年度は年間3,808万5,856円と、460万円の修繕費などを支出している。御屋敷山斎場は1億3,437万3千円を負担している。
新斎場の火葬の想定件数は2015年〜20年が年間2,702件に対し、20〜25年は2,871件▽25〜30年は3,002件▽30〜35年は3,210件▽ピークとなる35〜40年は3,183件▽40〜45年は2,922件と予想され、しばらくは増加傾向と見られている。
市議会では利用料金徴収の理由を「受益者負担」と説明したことに対し「受益者とはだれのことか。この場合は受益者という言葉はふさわしくない」と議員が指摘する場面もあった。誰もが避けて通れない死とその後の手続き。「死」を行政はどう扱うのか、幅広い議論が求められている。
(延安弘行)