コラム「一言進言」
半年後、話題にもならない?
~民主主義が生んだ安保法制案~
■「支持率が低下するのは覚悟の上だ」安倍政権はすごい。信念を持った政治家だ、と支持者は大喝采だ。圧倒的に多数を占める政党が決めたことを、投票で決めるのは民主主義にとって当たり前だ。選んだのは国民で、多数を得たわけだから自由自在だ。世論調査で選ばれたわけではない。反対か賛成かで分かれるのも当然至極だ。野党は当選者が少なかったのだから仕方ない。すべて国民が選んだ結果だ。
■ヒトラーだって当時、ワイマール憲法のもと世界で最高の民主主義で選ばれた人だった。選ばれたヒトラーが悪かったのか、選んだ国民がヒトラーのやりたい放題を放置したのが悪かったのか。多くの国民はドイツ人の優越感をくすぐられて、人権に無頓着になっていったのではないか。戦争の歴史を振り返ると、どこの国も、国民の他国より優位に立ちたい、優越感を持ちたい気持ちが、人間の命の尊厳をないがしろにする精神状態になったのではなかろうか。
■日本だって、先の大戦中、弾圧もすさまじかったが、多くの国民が富国強兵の波に乗り、日本民族優越論に乗って戦争に加担したのではないのか。民族の誇りを愛国心として集約し、中国やアメリカの立場を擁護する日本人は非国民として、政府だけでなく、近所の人、周りの人々が糾弾していったのではないか。
■あのアメリカが起こした無謀なイラク戦争を誰が当時批判したのか。これが日本の国民だ。お金だけで世界に恥ずかしい思いをしたのが政治家の中の常識になっている。結果、いまだに、というよりフセイン時代とは比べようもなくイラクは荒廃し、毎日多くの市民が死んでいる。日本の中で、当時、アメリカのすることに注文つけた政治家がいたのだろうか。国民の中で声を張り上げた学者がいたのだろうか。私が知る限りごく少数の学者や、文化人が反対を語っていたくらいだ。
■断言できるのは、半年後、国内のメディアも何もかも、安保法制案については誰も語らない状態になるということだ。国立競技場の方が関心事になっているだろう。ますます中国や韓国は悪い国で、どうやってやっつけるかの方に話題は向いているだろう。一億総ミーハーの日本国民は、富国強兵論に弱い。一度決めた法律を覆すほど民意は高くない。安倍政権のしたり顔が目に浮かぶ。
(中島 進)
