2026年06月15日(月)

コラム「一言進言」

船方農場の坂本さんバンザイ!

~道の駅の生みの親~

■九日付けの毎日新聞にうれしいニュースがあった。毎日新聞主催の全国農業コンクールで山口市の船方農場がグランプリを受賞したという記事だ。理事長の坂本多旦(かずあき)さんがうれしそうに表彰状を受け取っていた。坂本さんに初めて会ったのは三十年近く前。小野英輔徳山商議所現会頭が、私たちと作っていた飲み会に連れてきて、県内で初めて農業法人で農業を展開している御仁で、なにしろ精力的で、アイデアマンだと紹介された。いわば会社経営で農業をすると言うのは、当時、画期的なことだった。

■真っ黒に日に焼けて精かんな顔が印象的だった。これからの農業にいかに若者を参加させるかを熱く語っていた。会社形式にして、普通のサラリーマンのように休日が取れ、月給で安定した生活ができるようにと法人化の理由を説明した。牧場のエサは近郊の農家のワラをもらい、その代わりに農家に牧場で作った良質なたい肥を配るのだと話していた。何度も船方農場に行ったが、当時は珍しいカマンベールチーズなどを生産、すでに多くの観光客が農場を訪れていた。

■その後も多角的な経営を展開、今では三百三十人もの社員を抱えている。循環型の社会を目指し、六次産業化をいち早く取り組んだ坂本さんのアイデアと行動力は今さらながら驚くばかりだ。

■随分前だが「文芸春秋」に坂本さんが大きく取り上げられていた。徳山から日本海の須佐まで抜ける国道315号。当時、山中で一番困るのがトイレだった。坂本さんはひたすらきれいなトイレをと腐心し、困った人が気持ちよく休憩できるところをと船方農場から北に何㌔か行ったところに道の駅を作った。そこに地域の産品を置いて販売を始めた。

■タヌキしか出ないような山中に、突然きれいなトイレが出現、ドライバーたちは必ず寄り、なにがしかの産品を買っていくようになった。坂本さんのこのアイデアは、今は全国に広がる道の駅の発端となった。

■七十五歳になった坂本さんの記事を読んで、いまだに夢を語っているのには、驚きより感謝の気持ちに包まれた。若者たちに農業の良さを伝え、盛り上げようと実践している彼に、リーダーのあるべき姿を教えられる。当時三十後半から四十半ばの飲み会仲間たちにも、きっと大きな励みになるだろう。若者のために頑張れるお年寄りがなによりだ。

(中島 

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