コラム「一言進言」
市長選代理戦争?
~徳山駅ビル反対署名活動に疑問~
■行政に限らず、新しく事業を始める際には必ず反対がある。周南市の徳山駅ビル建て替えでは、図書館設置に伴い、レンタル大手のツタヤを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に管理させるのはいかがなものか、と住民投票を呼び掛ける動きがあるという。伝聞なのは呼びかけたのが島津元市長の後援会事務所からだという話で、沖田某氏の呼びかけで署名活動を始めると言う記事を読んだからだが、発信場所がわからなかったからだ。島津氏の後援会として署名活動するのと、市民の一員として活動するのでは、おのずと違ってくる。
■半年前の周南市長選では木村氏が圧勝したが、根強い島津氏ファンも存在していることもわかった。大阪ではないが、政治家の思惑で住民投票が実施されることもある。大阪の場合は、橋下氏か、自民や公明かの選択の要素も入ってしまった。本来、住民投票はある課題について是非が問われるべきだ。木村市長の応援をした人でも、ツタヤの図書館には反対の人もいるだろう。
■情報発信元が島津後援会と言うのはいかにも政治的すぎる。先の市民館小ホールの存続、再建築を目指した署名活動には一万人を大きく超える署名が集まった。私が知る限り、アンチ木村市長派だけの運動ではなかった。さまざまな活動をしている人たちが願いを届けようとしていた。
■駅ビルの問題は、いまだに多くの人から意見を聞く。CCCが管理し、スターバックスが進出することに期待を寄せている人も多い。一方、なぜあそこに図書館なのか、スターバックスで街中に人が流れるのかと疑問を語る人もいる。確かに駅ビルにCCC管理の図書館案は唐突に出てきた感がある。市民の声からのプランではなかった。しかし、佐賀県武雄市の図書館が有名になり、集客量を期待する声も大きい。住民投票で決めるのも一つの手段ではある。
■市民の市政への参加は、まず市長を選び、自分たちの意志を伝えてくれそうな市会議員を選出すること。そして究極は住民投票で自分の意思表示をすることだ。基本的には市長を誰に選ぶかで、市政の行方がほぼ決まる。しかし、市民の反対があってもこれだけは市民のためになる、これしか方法はないと強い決意で臨むことも市長には大切だ。高村元市長が新幹線駅を街中に建設した事案は、まさに後者の模範だ。今回、島津氏陣営とは無縁の人が声を上げたら、反応はもっと違うかもしれない。
(中島 進)
