2026年06月26日(金)

コラム「一言進言」

肌で感じる恐怖感

~なぜ学生たちはデモをしたか?~

七〇年安保世代には今回の若者たちの反対運動は感慨深い。当時は中核や革マルなどセクト主義者が主導権を握り、学生運動の主役はヘルメット姿だった。一方、小田実などが呼びかけたべ平連などの運動も盛んになった。今日の学生たちの運動はベ平連に近いものを感じるが、ベ平連はアメリカ兵の脱走を助けたり、デモだけでは収まらない活動で公安当局から大いに監視される存在だった。

ベトナム戦争も、七〇年安保も終わって一気にデモも姿を消し、一部の過激派による行動だけが残った。折しも高度成長の大きな波が押し寄せ、ヘルメットをかぶり、熱く人権を、差別を語っていた活動家たちの多くもその波にのまれ、あるいは乗っていった。

学生運動の発端も多くは学費値上げ反対闘争からだった。危険な防腐剤の製造研究に学生たちはノーを突きつけたが、教授の対応は「学生のくせに文句言うな」だった。新全国総合開発計画が発表され、日本中に工事のつち音が鳴り響き、道路や工業団地が作られた。公害が表面に出てきたのは学生運動も終わりのころだった。

改めて今回、若者や女性たちが安保関連法にノーを言うようになったのは、なぜだろうか。安保反対から五十年近くたち、当時の団塊世代は妙に大人しい。今回の法案は端的に言えば「アメリカ、イギリス、フランスなどと同じ行動ができる国を目指す」ことに尽きると思うのだが、若者や女性は、過去にアメリカなどがしたことが正義だとも、民主主義のためになったと思わないのではないか。欧米諸国と同一行動をとることで戦争抑止力が高まると思う人と、危険が増すと思う人が対立している。

アメリカは戦後、一年とあかず、世界中で戦争をしている。政府は、我が国を守ってくれている友達が攻撃されていて、見ないふりをするのかと反対派をなじる。しかし、一般市民は肌で感じる。アメリカは常に攻撃し、攻撃されている。守るとなれば世界中を相手にけんかをすることになる。これからは米軍を助けると言って出兵せざるを得ない。イラク戦争でほとんどの欧米諸国が犠牲者を出し、その後遺症は何十年も消えないと言われている。

戦争を防ぐ法律だと言われている。集団的自衛権を使う国の多くは、他国で戦争をして、他国民に犠牲者を出し、自国の兵たちも死んでいる。それらの国はテロの脅威で散々だ。確かにアメリカに守られている面はあるが、逆に中国やロシアと対峙(じ)する拠点として日本の国土が貢献している。若者や女性たちの肌で感じる恐怖感はあなどれない。

(中島 

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