コラム「一言進言」
テロ戦争に勝てるか
~武器弾薬輸出を止める~
■地下鉄サリン事件はちょうど二十年前になる。国内では最大規模のテロ事件で死者は十三人、被害者は六千人を超える大惨事だった。オウム真理教なる宗教集団は一躍有名になった。一種の信仰心はかくなるまでに人間の理性を奪うものかと驚がくした。信じることの大切さと究極の対岸に、怖さがあることを見せつけた。
■フランス・パリの同時テロはあのオウムの怖さを思い出させた。自爆をいとわない精神構造になるのも人間だ。世界中の多くの人が信仰している従来の宗教の教えでは考えられないことだが、これが現実だ。昔、トルコを旅した時、見事な地下都市跡があった。地下深くにワインの醸造所まで作られ、たくさんの住居跡が残されていた。当時、ヨーロッパからの十字軍の襲撃から難を逃れるためだったと言う。
■十字軍はキリスト教徒が聖地エルサレムを奪還するため組織されたものだが、イスラム諸国などから見れば残忍な侵略軍である。崇高な精神を求める宗教の世界も、他者を排除する凶暴なテロリストに変ぼうする可能性がある。
■イスラム教に明るくはないが、非常に慈愛に満ちた教えで、平等主義を大きく訴えた宗教だと認識している。だから、イスラム圏では、あの貧しい国で飢え死にとか、ホームレスの話を聞かなかった。富める人は、そうでない人たちを救いなさいと強く戒める宗教だ。
■テロとの戦いを欧米諸国が団結して展開する。それに日本も一枚加わるようだ。〝イスラム国〟なるテロ集団にはあぜんとするが、宗教心の下で出てきた暴力性は、果たして解除できるのだろうか。抑圧されたと感じる人間ほど怖いものはない。アフガニスタンでも、イラクでも経験してきたはずだが、空爆やミサイルでは収めきれないだろう。酷いようだが、同じイスラム圏の中で完結させる以外、収まらないのではないか。イスラムの教えで秩序を保つことが、最大の解決策ではないか。
■石油利権に始まり、欧米諸国の介入は、自由と民主主義を唱えながら、金もうけが透けて見えた。テロ集団が使う武器はどこから流れたのか。武器輸出国は何をしてきたのか。多量の武器を日々生産し、販売して多額の利益を稼ぎながら、テロとの戦いを高らかに宣言する国家に、人権を語る資格があるのだろうか。
■何年かでいい、欧米諸国は他国へ一切の武器弾薬の販売を止めたらよい。ご飯をたらふく食べさせて、ダイエットしろと宣言している。
(中島 進)
