2026年10月08日(木)

コラム「一言進言」

泉・明石市長の「パワハラ」

〜一方で人口増と高出生率〜

■「火をつけてこい!」職員へのパワハラで辞任したのは兵庫県明石市の泉房穂市長だった。その後の出直し選挙で圧倒的な市民の支持を受けて再選された泉市長はユニークだ。最近では2人の副市長が同時に辞任を申し出て話題になっていた。

■なぜ、あんな暴言を吐いたのか。県紙の神戸新聞がその場面の録音を前後を含めて再現した記事を掲載し、一気に市民は泉市長への批判からファンになった。明石市駅前交差点の道路拡幅工事でど真ん中の1軒だけ立ち退きに同意せず、あと半年で完成予定だった時期だった。2人の担当者を呼びつけ厳しく叱責した時の発言だった。背景にはその現場で死亡事故があり、5年間で42件の交通事故も起こっていたという。

■再現した記事の一部を紹介する。「ずっと座り込んで頭下げて1週間以内に取ってこい。お前ら自腹切ってハンコ押してもらえ。あと1軒だけです。ここは人が死にました。それがきっかけでこの事業は進んでいるのです。そんな中でぜひご協力いただきたいと(頼め)」。ちなみに担当者は7年間も値段も提示せず交渉らしい交渉ができていなかったようだ。

■さらに泉市長は「2人が行って難しければ私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。市民の安全のためやろ。腹立ってんのわ」。その後に「火をつけてこい」発言も飛び出した。最後の発言は「しんどい仕事やから尊い。相手がややこしいから美しいんですよ。一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は」

■明石市は今、9年連続、人口が増えている。出生率も全国トップクラスを維持している。高校生も医療費は所得制限なしで無料だ。「子どもを核とした」街つくりを目指し、給食費、保育料、公共料金、おむつまで無料だという。人口が増えて税収も30億円以上増えた。泉市長は何かと物議をかもすが、評価は分かれるところだ。

■「子どもに冷たい社会に未来はない」が泉市長の信条だが、これは正解だ。行政職員にはかなり厳しいようだが、市民の応援が大きい。そういえば下松市の故井川成正前市長は私に会うたびに「中島社長、わしゃあ助かったよ。徳山市が道路通さんから」と話していた。櫛ケ浜と久米への道路は予定より20年後にようやく開通した。その間、商業施設などは下松市に集中した。

(中島 進)

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