2026年05月25日(月)

コラム「一言進言」

DX世界で人間関係は?

〜ハンコがなければ幸せか?〜

20数年前、我が社では毎日夕方になるとボーヤ(アルバイトの学生)が出社し、各記者が撮影したフイルムを取り出して現像していた。現像ずみのネガフイルムをデスクがチェックして使う写真を特定し、紙焼きして版下製作者の手に渡っていた。中には開封時に光が入って使い物にならない写真が出たり、逆光などで使えない物が出るなど、失敗は数えきれないほどあった。

デジタルカメラが普及し始めると変化は一気に押し寄せた。パソコンが導入され、新聞編集用ソフトが入り、いわゆるデジタル化、デジタル時代が到来した。社内から暗室がなくなった。変化は速かった。

そして昨年末から、我が社も電子版を発行。私の世代では想像できないほどのスピードで広がりを見せている。8月だけで1カ月なんと63万人が「日刊新周南」を見に来ている。注目される記事は1日で10万人を超える人がアクセスしている。アナログ世代の私には到底感覚的に理解できない。

最近は産官学を挙げてDX推進を標榜している。正直何をするのか、はっきりわからない。要するにあらゆる場面でハンコをなくそうと言うことなのか。コピーして書類を配布するのをなくそうとしているのか。そういえば県議会でも予算書は膨大な量で、段ボール箱で送られてきていたが、そんなことはやめようとしていると聞いた。確かに無駄だ。

しかし以前、行政に上司にハンコを求める作業は続けるべきだと進言していた。特に周南市は職員数が肥大して、行政マン同士のコミュニケーションが希薄になっているから、せめてハンコをもらいに行った時ぐらい顔を合わせた方が良いのではと語った。その時の部下の顔色や、態度を見て気が付くこともあるだろう。「どんなかな?」の一言で相手の感情と触れ合うこともあるのでは、と思ったのだ。

新聞の取材はアナログ以外考えられない。直接会って、顔を見て、余分な話を聞きながら相手の真意を見つけるのが取材記者の本質だ。確かに編集作業はデジタル化になったが、取材はあくまでアナログに限る。現場を見ないと感動もない。ネット上の情報との差は、足を使って取材した情報と、うわさやうわべの情報の差だ。

DX推進もAIも大いに結構だが、人と人のつながりをどうするのかの議論が聞こえてこない。便利さや速さと引き換えに、失うものはないのか?。人間の感性をデーターで解析する必要はあるのだろうか?

(中島 

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