2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

マスメディアの責任

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 先月末の日曜日のこと、大勢の芸能人が出演する人気の情報娯楽番組で、司会進行役の芸能人が「児玉教授は日本に毒性の強い新たなコロナウイルスが発生していると言った」と発言し、それ(新規ウイルスの発生)を証明しろ、言いっ放しは納得できないと主張した。

 これは東大の児玉龍彦教授が、その10日ばかり前に国会に参考人として出席して新型コロナウイルス問題に関して警告を発したことを指していると思われる。しかし、児玉教授の実際の発言は「日本(新宿)に新型コロナウイルスのエピセンター(常住性大規模感染源)が生じている。」ということで、毒性の強い新たなウイルスが東京で発生しているとは言っていない。ウイルスが人を介して移動して感染者が増えるのが初期の状態だったが、現在では一定の個所にウイルスが多量に常在し、そこから常に多量のウィルスが周囲に拡散される状態になっていて、感染の危険は初期とは比較できないほどに増大していると考えられるから、このウイルスの巣窟を解消する対策をしないと大変なことになると警告されているのだ。

 児玉教授の発言を前もって聞いて、正しく理解している人なら(実際、警告が発せられた直後の複数の番組の解説では、内容は正しく説明されていた)この司会者の主張が間違っていると分かるのだが、人気番組の有名人の発言で、しかも断定的に強調しているので、この番組だけを見た視聴者は彼の主張を受け入れてしまうだろう。

 それ以上に大きな問題だと思うのは、番組に出演していた誰もが、医療専門家も局のスタッフも含めて、彼の発言を否定も訂正もしなかったことだ。これは怖いことだ。彼の発言を事実と受け取った視聴者は、児玉教授の警告を無視あるいは軽視することは容易に想像できるし、世論に注目・支持されない警告を政府関係者が深刻に受け取ることはないだろう。

 児玉教授と言えば、かつて東日本大震災で崩壊した原発から拡散した放射能の除染が遅々として進まないことに、その危険を警告し、国会で政府と議員を厳しく叱責する姿が印象に残っているが、その時もそれに政府がどのように応えたか、今も分からない。

 事実の上に議論がなされ、様々な意見が出ることは当然だが、重要な問題について、事実と異なることを大規模に、訂正も謝罪もなく拡散し、世論を誤って誘導することになったら、その責任は誰が、どう取るのだろう。人気はあるかもしれないが思慮は足りない芸能人に、事前の確認もなく重要問題を扱わせる危険さと、それを訂正することもなく放置しているTV局の無責任さを強く感じる出来事だった。

(カナダ友好協会代表)

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