コラム・エッセイ
継承政治
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子突然の辞任宣言によって始まった後継者選びレース。8日に告示され、今日は新しい自民党総裁が選出されるが、スタートから早くも勝負か決したかのようで、関心は新首相の下での人事・政策移っている。そして当選確実な最有力候補は立候補宣言で「現首相の政治継承」を唱えた。権力継承の際の常套句で、何の問題もないように聞こえるが、真面目に考えてみるととんでもないことに思える。
所属政党の政治継承と言うなら、不満足はいくらもあるが、これまでの政治の流れは変わらないという受取り方ができるが、現首相の政治となると、ちょっと考え直した方がいいのではないかと言いたくなる。
自分がしたいことなら、従来の憲法解釈を変えてでも法を変えて、アメリカの要請があれば他国と戦争できるようにする、自分や身内の行動に疑問を投げかけられると、周囲は関係文書を隠し、果ては改ざんをしてまで事実を曲げて否定する。国会を軽視して質問にはまともに応えず、問題を払いきれなくなって「責任は私にある」と言っても、結局責任をとる行動はしない。
問題が起こってもやり過ごしておればそのうち世間が忘れ去るという従来の問題解決手法が通用しない「未曾有の国難」に直面すると、取り巻き官僚の愚策に乗って莫大な無駄遣いをするばかりで打つ手に窮し、児玉教授に叱責される。胸を張る経済政策は国の借金を手がつけられないほど膨張させ、企業の収益は増大させたが、庶民の実所得は増えないままで、不安定な雇用に将来に夢を持てなくさせている。
現首相の政治を継承するということはこうしたことがまた起こるということで、想像するだけで恐ろしいことだ。あなたは本当にそう思っているのかと問いただしたいし、この候補の支持を表明している人達も、この人が前首相の政治を踏襲してくれることを都合よく思って群がっているのだろうと思うと、日本の将来が暗くなる。
現首相の最も近くにいた人が、その政治を継承するというのはおかしくはないが、やはりここは物事を明確に、私はこのことと、このことについてはこれまでのやり方を継承するが、この点と、この点については改め、矜恃を以て政権運営に当たると区別をつけながら述べていただきたいと思う。それによって初めてこの人への期待が生まれることになる。
現首相の後継者として他の候補がこの人より優れているとは決して言えず、結果に異を唱えることもない(異を唱えても仕方がない)が、一国のリーダーたる者、何よりも国民から信頼され、国民が安全に安心して生活できるよう、矜恃(きょうじ)を以て政治をつかさどることを第一に考えて欲しいと願う。
(カナダ友好協会代表)
