コラム・エッセイ
師走、トランプ、新型コロナ
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子早くも師走。いつもの年なら忘年会シーズン真っ盛りで、今年は日本一の成績を収めた私たちの若者支援事業でも一年間の苦労を振り返りながら祝宴を開いてもいいところだが、新型コロナ自粛の中では祝杯付集団会食などきつく御法度だから、職場での報告だけで終わっている。
新しい年へのページをめくる気分になかなかなれないままに年越しを迎えそうな令和2年の師走。けじめのつかないこの状態、何もかも新型コロナウイルスのせいだ。
人が作った状況なら「あ、うん」の呼吸が働いて、もう年末も近いしあとは年明けに考えようよと、適当に区切りをつけることも来るのだが、人間社会に忖度の気持ちなど持ち合わせないウイルスが相手では、何年も前から練りに練ってスケジュールが決められたオリンピックも押しつぶされ、年の瀬も新年も全く配慮されず、感染者数拡大グラフは連続した曲線を描き続ける。
春先に交わされた、収束には今年一杯かかるだろう、言い換えれば今年中には何とかなるだろうという希望的予測は最早絶望的で、今年と来年の区別にあまり意味のない時間が続いてゆきそうだ。
もう一つ、時間の区切りをつかなくしてしまっているのがアメリカの大統領選挙。開票結果も出て、普通なら大接戦であろうと完敗であろうと、悔しくても負けを認めて握手を交わし政権を手渡して新年を迎えるのが彼の国の習わしであろうに、4年間、都合の悪いことは「フェイクニュース」と決めつけて認めずかわしてきた手法がここでも通じると思ってか、「あれは投票に不正があったのだ」と言い張って負けを認めない愚挙に走っている。
選挙結果が覆ることはなく、新年の就任式ができないということにはならないだろうが、新年を迎える米国民、少なからぬ影響を受ける諸国にとっては行く年来る年の時の移りのけじめを乱され、迷惑甚だしいことだ。
もう後のなくなった現大統領は負けを認めず、歴代大統領最多得票を背景に、捲土重来を図るとも伝えられているが、もうその目はないだろう。彼が支持を得られたのは、立候補時期から庶民迎合の自己利益優先の発言を一貫し、大統領になってもその地位を利用して発言を続けることで常に民衆に忘れられることなく自分をアピール出来たからで、失職後、特権的な発言の機会を失えば後は忘れられるのみ。
忘却のスピードに発信のスピードが追いつけなければ熱狂的関心も支持も薄れてゆくのは、ものの道理というもの。人気絶頂のアイドルも1年間も画面から消えていると忘れ去られ「この人、だあれ?」となる。消え去った多くの人気者の末路をこの人も歩むことだろう。
(カナダ友好協会代表)
