2026年09月30日(水)

コラム・エッセイ

マイナンバー

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 新型コロナウィルス対応の一律10万円給付政策。評価は様々だが、自粛生活下に地盤沈下状態の経済活動に少しは力を与える効果はあるだろう。給付金が欲しければ(大抵の人は欲しいと思う)、郵送されてくる申請用紙を受け取って手続き開始となるのだが、ここに横合いから総務省のささやきが入った。 

 郵送申請では時間がかかって、支給が遅くなるかもしれませんよ。マイナンバーカードを使ったオンライン申請ならスムーズに処理できて、早く受け取れますと。そうか、その手があったのかと、カードの保持者は一斉にオンライン申請に向かったが、どうもささやき通りには進んでいないらしい。

 パスワードを忘れたというのは自己責任の範囲だが、きちんと入力できてもその後の処理は自治体担当者の手作業で進められ、ここで大渋滞が起こっているらしい。なぜそんなことになるのか。実はこうなることはささやいた者にはわかっていたはずのことだ。それにも拘わらずこの時に敢えてオンライン申請をPRしたのには下心あってのことと思わざるを得ない。

 マイナンバー制度が始まって5年。普段意識することはなく、カードもなく、それでも不便はないのだが、唯一便利だと思うのが税の確定申告。マイナンバーを使ってオンライン申告すれば10分くらいで完了し、税務署に行く必要もないから、本当に便利。

 身辺にあまたあるカードもマイナンバーで一本化すればいいだろうと思えるが、そうなっていないのは詐欺被害の恐れもさることながら、あらゆる個人情報が国に把握され、個人生活が国家管理される危険が大きいためで、政府に信頼がなく、制度制定に当たってこの疑念を払うことが出来なかったから、マイナンバーにリンクできる分野が税と社会保障、災害関係に限定されているのだ。だから、それ以外の分野に用いようとすれば、手作業でつなぐ部分が必要となって、確定申告のようには行かなくなるのだ。

 こんなことは制度を作った総務省は十分わかっていることで、やってみたら思わぬトラブルが起こったということではない。わかっていてささやいたのだ。なぜ?巨費(一説には3000億円とも)をかけて進めたカード化が一向に進まず面子丸つぶれの中、このコロナ騒ぎを、カード化ばかりか、果たせなかった意図を実現する千載一遇のチャンスと考えているのだ。

 給付金のオンライン申請がスムーズに出来ないのはマイナンバーが全分野にリンクされていないからですよ。どんなに不便かわかったでしょう。さあ、全分野にリンクさせて、一枚のカードで便利に生活しましょう。本性を顕した政権の本音のささやきがそのうち聞こえてくることだろう。

(カナダ友好協会代表)

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