2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

強者(?)の驕り

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 本当にあっという間に今年も師走を迎えた。天皇譲位によって年号が変わって初めての師走。初めての夏休み、初めてのお盆、初めてのお歳暮、初めての年賀状書きと、あれにもこれにも初めてがつくこの半年あまり、変わらぬはずの時の移ろいにも何か新鮮なものを感じさせられたのだが、そんな中、何の新鮮味もなく相変わらず繰り返されているのが政権にまつわる不祥事の数々。なんでこんな人がなっていたのかとあきれるような諸閣僚の、相次ぐ辞任。あるまじき暴言が元で、半年後に迫った新受験制度の実施を撤回せざるを得なくなった某大臣。更に他の閣僚にも失言問題が見え隠れしたり、緊張感のかけらも見られない状態だ。それに、この時期になってにわかにわき起こった、国税で営まれているはずの「桜を見る会」の私物化疑惑。

 もう過去のことになったような「モリ・カケ」事件と同列の、「私は関係ない」という言い訳と、権力者の立場を忖度するように関係文書が早々に処分されて衆目から消し去られ、すべてをうやむやにして追及の手をかわしながら問題の自然消滅を待つという構図の再現になっている。

 とぎれなく続く不祥事は、歴代最長政権の称号を得た最高権力者およびその周囲の「強者の驕り」だという批判が起こっているが、この言葉にはちょっと違和感がある。このような状態をもたらしているのが長期政権の「驕り」であることはその通りなのだが、それは政権担当者が「強者」ではなく「弱者」であるが故のことではないかと思えるのだ。

 自分の意を挺し手足となって行政を担当する閣僚を選ぶのに、真の強者ならば、自らの目と判断力が基になるはずだが、実際にはその立場に値しない輩が続出するのは、政権が様々な勢力のバランスの上に成り立っていて、バランスを崩さないためには、資質に問題のある輩でも、選ばざるを得ない事情が優先されているからだと考えられる。このバランスが崩れない限り国政に関しては最強権力者として君臨できるが、少しでも崩れるとあっけなく最後を迎えることになる。

 桜を見る会も同様に、真の強者ならば公私混同を廃する矜恃を示すことが出来るはずだが、そうならないのは周囲の声を容れざるを得ない弱者の姿の表れなのだ。最長政権となった日「薄氷を踏む思いで」という言葉が語られたが、強者ではなく弱者である心情を素直に表したようにも思える。どうかその「薄氷を踏む思い」を、支持勢力のバランスを取ることに感じるのでなく、国の命運を担う自分の日々の判断が真に国民の願いに沿ったものになっているかを思う時に感じてほしいと願っている。

(カナダ友好協会代表)

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