コラム・エッセイ
感激のサプライズ
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子中学・高校と我が家で学んだSさんがめでたくゴールインとなり、先月末、職場のある大阪で挙式となった。夫婦揃っての招待を受けたのだが、このところの腰痛で長時間の移動は耐えられず、やむなくつれ合い殿だけの参席となった。
明るいスポーツウーマンで互いに遠慮がなく、先生と生徒というよりも娘か友達のような関係だったから卒業後も絆は固く、正月・夏休みその他での帰省時には必ず顔を見せ、時には実家に帰るより先に我が家に立ち寄って近況報告をしてくれていた。そんなSさんの姿を見るのは私達にも大きな楽しみで、近々帰省という知らせを受けると、つれ合いはそわそわ・いそいそと、昔と同じ手作りドーナツを用意し、来訪を告げるチャイムの音を待つのがいつもの儀式となっていた。
この人と結婚しますと「私の選んだ人」を伴って訪れ、挨拶をしてくれたのが1年半前のこと。「おめでとう。1年半くらいすぐ来るよ。」言いながら、まだ1年以上先だなと思っていたのだが、時はあっという間に過ぎてその日となり、つれ合い殿に心を託して見送ることになった。
以下、つれ合い殿の感激の報告のご紹介。折しも台風の接近で天候が心配だったが、暑いながら晴れ間も見える好天の下、モダンな式場で、若い人達好みのチャペルでの結婚式だった。誓いの言葉に続く指輪交換を終え、フラワーシャワーで祝福された新郎新婦を囲んだ披露宴で、大型スクリーンに映される両人の生い立ちや馴初めの画像を楽しんでいるうちに新婦のお色直しの時となり、我がつれ合いに大ハプニングが起こった。退出する新婦のエスコート役に突然指名された我がつれ合い、テーブルの料理に箸をつけていたところに自分の名がアナウンスされ、何が起こったのか理解できないままに花嫁と並んで手を取ることになり、今この場でどんな言葉を発すればよいのかほとんどパニック状態で、トンチンカンな、恐らく列席者一堂失笑しただろうと思うようなことを口走ってしまったと、いたく反省の弁を繰り返す我がつれ合い。
でも嬉しかった。本来なら家族か親戚の誰かが果たす役割だろうに自分を指名してくれるとは、Sさんは本当に自分を慕ってくれているんだなと知り、打合せもなく突然で驚いたが感激したと、つれ合い殿は淡々と語った。式場の出口で参列者の見送りをする新郎新婦に改めて祝福の言葉をかけながら、台風の影響か少々雲行きの怪しくなった空を見上げながら、白い紙袋を下げて、心満たされて会場を後にしたとの嬉しさ一杯の報告に、出来れば一緒に行きたかったと思いながら、喜びを分かち合えたいい日だった。
(カナダ友好協会代表)
