コラム・エッセイ
正社員30万人増
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子この度政府は、「就職氷河期世代」の無業者を中心に、無業若者、ひきこもり者への就業支援対策として今後3年間で正規雇用者30万人増の目標の下、就職に有用な資格を短期間に取得できる制度も創設することを発表した。
労働人口減少が日本社会の大きな問題となっている中で、若年無業者、いわゆる80・50問題が現実の大きな社会問題であることが再確認されたひきこもり者、それに就業の機会が極端に少なかった「就職氷河期世代」と称される40代の無業者への支援は政府にとっても大きな政治課題で、様々な支援策が施されている。私たちが携わっている若者支援事業もそうした施策に基づいたものだが、社会に溶け込みにくい状況にある若者たちが十分に自立できる状態に至るにはまだまだ多くの困難がある。
かなりの期間社会と距離を置いた状態で無業であった若者が就職しようとする時、徒手空拳で臨むよりも有用な資格を持っている方が有利であるから、この度の施策は支援策として何らかの効果はあるだろう。しかし、何か大切なものが欠けているように思える。このまま実施されても支援対象者が恩恵を受けるよりも、ビジネスチャンスを得た資格取得システム運営業者が多大の利益を得るだけの結果になりそうな気がするからだ。
この度の施策の目標は正規雇用者30万人増となっているが、支援対象者にとっては、得られた地位が安定継続できるものでなければあまり意味はない。この人達が長期間無業であったのは、単に就業の機会が少ない中で有用な資格や技能を持たず就職競争に勝てなかったからというばかりではなく、人間関係の構築が苦手で、職場環境に順応するのが困難であったことが多い。そうした状況を理解して正社員として受け入れる職場環境が確保されていればいいのだが、多くの企業にそのような備えがあるとは思えない。その人の事情を配慮するよりも、正社員に相応しい働きを求めることになるだろうし、営利企業としてそれは当然のことだ。その結果、折角得た職を失うことになる。
また、正社員の地位を求めるのは無業者ばかりではない。正規雇用を求める非正規雇用者も当然いる。職場環境への適応では問題のないこの人達との競争に勝てるだろうか。かといって、非正規雇用者はこの施策の対象外として排除するのは逆差別で、新たな問題を生じる。この施策が実効のあるものになるために必要なことは、短期間に資格を取得する制度よりも、企業側が適切な職場環境を備えられる制度を作ること、そして、支援対象者が職場環境に順応できる訓練を受けられる制度を用意することだと思っている。
(カナダ友好協会代表)
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