2026年06月25日(木)

コラム・エッセイ

後遺症

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 新型コロナウィルス感染症とワクチン接種について後遺症が話題に上っている。

 後遺症とは「病気や怪我が一応治った後に、まだ残る症状(例解新国語辞典)」で、感染症では「けだるさ」や「味覚・嗅覚異常」、ワクチンでは「心筋症」などが問題になっている。

 小室眞子さんの「複雑性PTSD」も、過去の受けた様々な精神的ストレスが引き起こす後遺症ということだろう。私の絶えない胃痛も以前に受けた手術の後遺症かもしれないし、20年近く前に頸椎手術を受けたつれ合いも、その後始まった歩行の不具合を、手術の後遺症ではないかと疑っている。

 後遺症は病気や怪我に限らず、また、個人の状態に限ったものでもなく、社会や組織に起った出来事がその後の社会や組織に影響を及ぼし続けることも後遺症と捉えることが出来るだろう。

 日本にとってその最大と思えるものが、第2次大戦の敗戦後、政治的にも経済的にもアメリカに抗えなくなっていることだろう。その他にも、リーマンショックの後遺症などもまだ引きずっているように思うが、最近改めて思い当たるのが「政権交代」後遺症。戦後、自由民主党(自民党)結成後の日本の政治はほとんどの期間は自民党が政権党で、日本の政治を支配してきた。

 1つの勢力による長期支配が続くと弊害が蓄積されるから、それを改める自浄作用が働かないなら政権交代が必要になるのだが、その機会は少なく、自民党からの政権交代は1993年の日本新党(細川内閣)へ、2009年の民主党(鳩山/菅/野田内閣)への2度だけだ(1947年の政権交代は自由党から社会党)。

 いずれの政権交代も長く続く1党支配状態の弊害を打ち破る期待を担っての登場だったが、結果は無残なもので、期待は裏切られ、とりわけ2度目では、税金の無駄遣い排除を唱った行政改革を公約に掲げ圧倒的多数の議席を与えられながら、官僚組織の抵抗を突破出来ず、「やろうとしましたが、出来ませんでした」と、やろうともしなかった従来政権と変わらぬばかりか、やる力がないことを知られてしまい、国民が望んでもいない消費税増税(それは必要なことだったのだろうが)は強引に実現して、姿を消すことになった。

 2度の「政権交代期待外れ」症はその後の日本政治に「政権交代に期待しても仕方がない」という後遺症を残しているように感じる。

 師走の初めに行われた野党第一党の代表選が、その前の政権党総裁選に比べて盛り上がりを欠いたのも、単に地味な顔ぶれで政権とも遠いというだけでなく、政権交代後遺症がまだまだ強く残っているせいだと感じる。いいワクチン開発はここにも必要なようだ。

(カナダ友好協会代表)

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