2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

6月23日

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 「日本国民が忘れてはならない日」と上皇陛下が常々挙げられる4つの日。

 8月6日と9日は広島・長崎への原爆投下の日。8月15日は終戦の日、そして6月23日は沖縄地上戦終結の日。原爆投下、敗戦は77年経った今も多くの日本人には記憶によみがえる出来事だが、6月23日がすぐに浮かんでくる世代は、もう圧倒的に少数派だろう。

 戦闘員同士の戦いでなく、一般の非戦闘員が日常生活を営む国土での初の地上戦で、一般国民が無差別に殺傷され、戦闘員を上回る犠牲者を生じた。戦争の悲惨さを象徴する出来事で、他の3つの日と共に、時の経過による忘却に任せて、戦争の愚かさと悲惨さの記憶を消し去ることがないようにという思いで、挙げられたのだろう。

 4つの日に限らない。戦争の悲惨さを実体験として記憶にとどめている人も、まだまだ数多く残っている。

 今世界の耳目を集めているロシアによるウクライナ侵略では、一般市民に多数の犠牲者が出ていることに、戦争犯罪だと欧米諸国から非難の声が上がっているが、第2次大戦時の無差別空襲・原爆投下はそれ以上に悪質な戦争犯罪だと考えられる。

 それをした国がウクライナ戦争では戦争犯罪と糾弾するのはダブルスタンダードだ。そうした国の判断を常に正義とし、無批判に付き従うのは、過去のみでなく、将来にわたって禍根を残すことになるだろう。

 戦後の米国による占領とその後実現した施政権返還の後も沖縄は様々な困難を担わせられた状況に置かれ続けている。戦後の政権でも、戦争の悲惨さを知り、戦争の愚かさを自覚していたと思われる人たちが政権幹部であった時代には沖縄に寄り添った政治判断をした時があったが、それらの人が権力の中枢を退いた後は、戦争の愚かさも沖縄への思いも、記憶からも消し去った人たちが政権を運営し続け、過去から現在に至る沖縄の苦難の歴史を顧みることはない。

 何とかしたいと心を砕いた先輩達の心を引き継ぐこともなく、何事もないように、何の責任もないように権力維持の抗争に耽っている。

 新型コロナウィルス禍・ウクライナ戦争を筆頭とする世界情勢不安を背景にしたエネルギー・食料供給不安、急激な円安の影響を受けた生活物資の急激な価格高騰に、物価の動向の監視に責任のある金融政策責任者は「我が国の一般家庭では物価高を容認する状況が出来ている」と自らの無策と責任放棄を正当化してはばからない。

 それは戦争を体験せず、戦争の悲惨さ愚かさを知らない為政者が、沖縄の状況改善に無策であり、ましてや責任をとろうとは夢にも思っていないようであるのと共通している。

 あと数日後に迫った6月23日。その後に続く8月の3つの日とともに、その日を記憶すべき意義を改めて思い起こしたいと思う。

(カナダ友好協会代表)

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