2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

独創性と生産性

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 バブル経済破裂後停滞が続き、物価は上がらないが給料も上がらず、年金も減額。

 かつてはジャパン・アズ・ナンバーワンと称えられたことが戦国時代の昔だったようにさえ感じられる。コロナに封じ込められ、一向に改善の気配が感じられない日本経済の行方を論じる場面が多く見られる。

 そんな時よく耳にする言葉が独創性。日本の国際競争力が衰え、かつてははるか後進と思っていた国々の後塵を拝するようになった。それに対して日本社会が均等性を重視して、独創性を育てて来なかったことが、新しい産業分野の創出や経済成長力の強化を図れなかったことの原因だと、多くの識者達が強調する場面が見られる。

 新しいものを創出するためには独創性が必要なことはよく分かる。現状を打破し、新しいものを建設するためには、新しいものの姿を描き、どんなものを生み出すのかを、既存の概念を離れて考え、必要な方法を作り出してゆかなければならない。既存の常識にとらわれない独創的な人材が必要とされ、教育でも、企業活動でも、独創的な人材を育てることが重要であることはよくわかる。

 しかし、今日本社会で求められているものは、今あるものの規模拡大で、それは今やっていることをできるだけ少ない資源とエネルギーでより多く作り出せるようにしようとすること。そこで第一に求められているのは、独創性よりも生産性の向上で、生産性の向上の工夫のために独創性を発揮してほしいというのが、政治・経済界の本音のように感じる。ちょうど今テレビで、高層ビルを解体する最新の方法が紹介されている。

 十分な土地がある海外なら、ダイナマイトで一挙に解体する方法が一般的だが、そうはいかない日本では、安全にかつ効率よく短期間で工事を完了する様々な方法が開発されている。その様子を見ると,まさに独創的な工法で感心するばかりだが、その独創性は解体工事の生産性向上のために発揮されている。

 独創性は生産性の向上のために発揮されているのだ。独創性だけを重視するのなら解体などしないで建設することを目指すのだろうが、そのための時間を待ちはしない。

 今あることを効率的にやる、生産性の向上が優先されている。その中で動き続けているのが、学者の顔を装った悪徳政治屋が唱えるベイシックインカムと称する少額の生活保障費と引き換えに、生産性向上競争に参加できない人を社会活動から切り捨てるという考えだ。

 生産性向上は企業活動にとって最重要課題なのだろうが、社会の最優先に掲げるべきものかどうか。どん底経済からの復興を図る時期に当たって、考えてみる必要があるだろう。

(カナダ友好協会代表)

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