2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

土産話(1) 幸せを描く

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 2、3カ月に1度は東京に出かけ、友人や知り合いを訪ねて「うたごえ喫茶ともしび」で思う存分歌い上げて締めくくる数日を過ごすのが恒例となっている我がつれ合い。このところ多忙となり、もう4カ月以上も遠出の機会がなくなっていたが、とうとう我慢できず、あれこれスケジュールを調整して久々の東京訪問となった。

 帰宅後、いつものように始まる語りに、毎度変わらぬ土産話だろうと聞き流すつもりだったが、今回はいつもとは違った話題が豊富で聞き応えがあったので、そのうちの幾つかをご紹介しようと思う。それぞれ面白いのだが、何の関連もない話なので2度に分けてお話しすることにする。

 まずは新宿ともしびで出会ったという画伯の話。久々に顔を合わせた友人とうたごえの席についた2人。いつものように歌集を広げ、ひとしきり歌った休憩時間に、同じテーブルの客から声をかけられた。

 岡山から来たという朴訥(ぼくとつ)な風ぼうのその男性は、手にいっぱいの写生画の絵はがきを持ち、「ごあいさつ代わりに、どれでもお好きなものをどうぞ」と周りの誰彼に声をかけているのだ。

 体育の指導者で、本職の絵描きではないと断りながら差し出された、日本やヨーロッパの風景を描いた水彩画風の絵はなかなかの出来映えで、署名入りの1枚をそれぞれ選び、それをきっかけに話の輪が広がったそうだ。

 ここまでは、まあ、特に変わったことではない。Mさんというその人は、そのうちスケッチブックと鉛筆を取り出し、別の客に「あなたを描かせて下さい」と鉛筆を走らせ始めた。どのように描いているのかこちらからは見えなかったが、時々、指先で画面をこすりながら整え、仕上がった絵を見て、モデルとなった人や周囲は大笑い。

 何ごとかとその輪に加わると、描かれていたのは確かにその人なのだが、年相応にしわも深く、あちこちにたるみもある顔からしわもたるみも消え去って、すっかり若返った顔で描かれているのだ。

 「目の前のあなたの若い時の姿を想像しながら描きます。絵を見て笑うあなたを見て、私も楽しくなります」というMさん。

 誰もが願ってもかなわない若返りを、紙と鉛筆で実現してくれるMさんは、描かれた人にとっては「幸せを描く画伯」と思えるだろう。

 その後の休憩時間に声をかけられたつれ合い殿、神妙な顔つきでモデルとなり、出来上がった、若かりし日の自分を押しいただいたそうだ。

 うれしそうに広げて見せたその肖像は、どう見ても50歳ばかりは若返っていた。

(カナダ友好協会代表)

50歳の若返り

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