2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

若者たちへのメッセージ

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 高校がほとんど義務教育化した状況の中、児童、生徒たちは学習に関してさまざまな思いや悩みを抱えて日々、学校に通っている。学習に関する悩みの種は小、中学校くらいまでは教科の内容や成績に関することが多いのだが、高校になると「なぜ勉強しなければいけないのか」という根源的な疑問を持つ生徒も出てくる。

 「嫌ならやめて働けばいい。義務教育ではないのだから」というのも一つの答だが、どう考えても適切ではない。知り合いの娘さんもそんな疑問を抱えた1人だ。その娘さんに我がつれ合いが手紙を書いた。我が意を得たりという内容だったので、本人了解のもと、中核部分をご紹介したい。

 「(前略)なぜ勉学に励まなければならないか。人は自分1人の力で生きているのではありません。生きるために必要なものどれ一つ自分で作ったものはなく、すべてほかの誰かが作ったものを利用して生きています。人は生きてゆくために社会の中で、自分の力の範囲で、出来ることをすることでお互いが支え合っています。

 そして自分が出来ることの範囲を広げ、自分の持つ力を十分に発揮し、人生を心豊かな充実したものとするためには、社会に出た時、自分の周囲に広がる未知にあふれた世界を理解し、自分の考えを持ち、自分の意図を人に的確に伝え、理解させることが必要です。

 そのためには、これだけは必要だと、多くの人たちが長い時間と体験の中で選んだことを、社会に出るに先立って身につけるために、幼稚園から小学、中学、高校と期間を設けて教育しているのです。

 今、この時の自分には、なぜこれが必要なのか理解・納得が出来ないこともたくさんあると思いますが、それらはすべて、この社会がその体験の中で、人が存分に活動するためには必要と考えたことですから、まずしっかりと身につけて、大学生活も含めた社会の中でそれらを基に多くの未知と対峙(たいじ)していきましょう。

 今は意味がわからない、無駄ではないかと思われたことが、やはり大切なものであったということが、その時、初めて納得されるでしょう。本当に無駄なものがあれば、その時捨てればいいのです。身についていないものを、必要を感じた時に身につけようとしても、無駄ではありませんが、間に合わないことが多いのです。(後略)」

 その娘さんがこの手紙を読んでどう感じたかは、まだわからない。でもこの通りだと思う。近く携わることになる高校中退者の進路相談の事業の面談の中で、相談者にこんな話もしたいと思っている。

(カナダ友好協会代表)

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