コラム・エッセイ
人生相談
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子新年を迎えたと思う間もなく、来年に思いを巡らす時期になった。自然界も人間界も何が起こるか予想がつかない中で、確実に言えることは、また一つ齢を重ねることで、一日々々、きょうがきのうになってゆくことに正直、怖さを覚える。
そんな中で救われるのは若い人たちとの交流の場があることで、孫の世代に当たる小、中、高校生たちと裃(かみしも)を脱いだ言葉を交わしていると、精神年齢が一瞬5、60歳若返るという至福を味わうことが出来る。
我が家に集う若者たちとの会話には日常生活の悩みがしばしば登場する。悩みの内容は年により異なり、小学生だと兄弟との諍(いさか)いや家族との出来事、中学生だと成績や友人関係など学校関係が増え、高校生になると将来の進路、受験、恋愛など幅広くなる。
話題がそちらに及ぶと学習などそっちのけでほとんどの時間を費やし、学習教室がよろず悩み相談所に変身する。先日も、中学生のH君の悩みに耳を傾けた。
小規模校のため部活の選択の余地が少なく、やりたくもない運動部に所属しているのだが、毎日が苦痛でしかない。入りたかった部があるのだが、入りがたい雰囲気で、それに今からそちらに行ったら裏切り者扱いで白い目で見られそうでとても決心がつかない、と打ち明ける。
毎日、いつやめようかと思いながら過ごしているが、どうしたらいいだろうと言うH君に①入りたい部があるのなら、入りたいと言えばいい②今の部に不満があるなら、聞いてもらえる人に要望を伝えればいい③自分のしたい種目の部がないのなら作ればいい、と言うと、それはそうだと思うが、実際にはそういう行動はとりがたい。理由はこれこれと実に雄弁に語り続ける。
話が終わったあと「よくわかった。でも、出来ない理由をそれだけ考えられるのなら、どうすれば自分の望むようになるかも考えてみれば?きっといい考えが浮かぶと思うよ」と告げて、相談時間を終えた。その話をつれ合いに伝えると
「それはもっともな正論だ。しかし、現実は彼のような姿勢が大部分だろう。私もそうだ。したいことがあっても、それに伴う不安、煩わしさ、リスクを思って、結局出来ない。しかしあんたは、無謀ではないかと思うことでもやり始めて、実現させている」
「この違いは、たいていの人は自分1人でやろうとして力不足に不安を感じるのに対して、あんたは自分のやれないことは、やれる才能のある人を巻き込んでやるところにある。やりたいことをやる能力があるというよりも、人を引き込む才能があるということだろう」
言葉の真意はまだわからないが、褒め言葉と受け取っておこう。こんな私のやり方が若い人たちの参考になればいいのだが。
(カナダ友好協会代表)
