2026年09月29日(火)

コラム・エッセイ

青天の霹靂

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 暑さの季節を迎えると話題になるのが「熱中症」。幼児や高齢者を中心に毎年同じように繰り返され、最悪の場合は命に関わる。暑さと水分不足が原因のようだが、曇天の室内でも発症することもあり、水分補給が大切だと、一般的な知識としては心得ているが、まさか自分の身辺で起ころうとは思っていなかった。

 仕事で家を離れていた先週のこと、突然、携帯電話につれ合いからの連絡。熱中症で緊急入院中とのこと。今はもう大丈夫という声にまずは安心しながらいきさつを聞く。

 その日は朝からなんとなく調子が悪かった。気持ちがしゃんとせず、じっとしていても汗ばんでくる状態だったが、動けないほどではなく、いつものように自転車に乗って行きつけの喫茶店へ行った。モーニングセットの朝食をとテーブルにつき、少し休もうと目をつむったまでの記憶だったそうだ。

 何か呼ぶ声に目を開けると「大丈夫ですか」とのぞき込む男性(救急隊員)の顔。周囲には心配そうな店の人の顔。意識を取り戻す中でのやり取りでわかったことは次のようなものだった。

 馴染みのお客が来店し、いつものように注文を受けたが、テーブルに置かれたモーニングセットに手をつけないまま椅子に背をもたせかけ、足も伸ばした状態で目を閉じてぐったりとしている。心配して声をかけたが返事はなく、手を触ってみると冷たくなっている。タクシーで病院に運ぼうかと思ったが、それでは診察の順番待ちで間に合わないかもしれないと119番通報し、救急車の出動を要請したということだ。

 病院に着き、救急病棟に運び込まれてベッドに寝かされた時はズボンまで汗びっしょりで、病院着に着替えて心電図、血圧、脈拍を測りながら水分補給の点滴を受けたのだそうだ。体温は37度以上、脈拍は130、血圧は70/30くらいで、かなり危ない状態だったらしい。

 ところが、今だから笑い話として聞けるのだが、しばらくして突然吐き気がし、体を起こしてもらったところ大きなゲップが一つ。その後、急激に回復し、脈拍は60台、血圧も130/60くらいに一挙に変わったそうだ。

 医師もびっくりの回復で、こちらにも自分で連絡ができたのだが、救急搬入の患者がただちに無罪放免とはならず、一晩入院した後、翌日退院となった。

 病院からの帰路、何はおいてもと件の喫茶店をお礼と報告に訪れたそうだが、もし、自宅で1人で倒れていたらどうなっていたかわからない。お店の適切な判断のおかげで救われたのだ。

 喫茶「ニューカノン」の皆様、本当に有り難うございました。徳山中央病院救急病棟の皆様、本当にお世話になりました。

(カナダ友好協会代表)

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