2026年08月13日(木)

コラム・エッセイ

光、甦れ。

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 年の明けた先日の新聞にiPS細胞で光感知機能回復というニュースが載っていた。まだネズミを使っての動物実験の段階のようだが、治療困難な遺伝性の目の難病が、iPS細胞から作った網膜組織の移植で治療できる可能性が見いだされたというのだ。

 iPS細胞作成技術の発見と応用技術の開発は、さまざまな身体障害に悩む人にとってはまさに福音であり、希望の光であるに違いない。人の命を広範・大量に奪う兵器の開発や、欲望をみたすための利権追求に費やす費用と能力と時間のすべてを振り向けて、さらには、人間に取って代わろうとするAI(人工知能)技術の開発など後回しにしてもいいから、一日も早く実用化に達するよう、人類の総力を挙げて取り組むべき課題だと思う。

 私がこの記事に特に目を引かれたのにはもう一つわけがある。

 もう随分前のことだが、春と夏にバンクーバー市を訪問し、ホームステイをしながら文化交流するカナダ友好協会の国際交流事業「カナダフレンドシップ大使」のある年の参加者に、Oさんという女子中学生がいた。

 出発前の事前研修会にはお父さんが一緒に来られ、実はOさんは不治の病とされる目の病気(それはこのニュースで報じられたものと同じ病名だった)で、今はまだわずかに視力が残っているが、いずれ光を失ってしまうことになる。そうなる前に、せめて思い出となる光景を記憶に残せるように、この旅に参加させてやりたいと語られた。

 それを知って改めて見たOさんへの不憫(ふびん)さと、自分の力ではどうすることもできない中で、娘への思いを語るお父さんの言葉に感動を覚えながら、2週間の旅に同行した。

 行く先々で一行を代表してメッセージを発信しながら初めてのカナダの旅を終えたOさんの記憶に、カナダでの体験はどのように焼き付けられたのだろう。その後のOさんの消息は知らないが、恐らく30代を生きているであろう彼女が、自分に光が甦るかもしれないというこのニュースを知れば、きっと大きな喜びに包まれていることだろう。

 実用化にはまだまだ課題も多く、何年後と明確に示されたわけではないけれど、いつかきっとその日が来ると信じるならば、大きな希望が膨らんで、明日も明るく生きてゆくことができるだろう。どうかどこかでその日の到来を夢見ながら、力強く生きてほしいと願わずにはいられない。

(カナダ友好協会代表)

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
出光興産

出光興産徳山事業所は、エネルギーと素材の安定供給を通じて産業や暮らしを支えています。環境負荷低減や安全操業に取り組み、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

西京銀行

西京銀行のスマホバンキングアプリ。残高照会や振込、定期預金の手続きなどをスマートフォンで簡単・便利に利用できます。
口座開設や各種手続きもアプリで完結。詳しくは西京銀行までお気軽にお問い合わせください。