コラム・エッセイ
毎日お勉強
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子小学校2年生のRちゃん。小学高学年のお姉ちゃんと一緒に通って来る丸顔の健康優良児。初めての英語でABCからのスタート。AからZまで、大文字小文字を丁寧に読んでつづって、すぐ覚えた。
これはなかなか見所があると、こちらもついつい前のめり。絵入りのカードを見ながら「What is this?(これ、なあに?)」「This is a dog.(これは、犬よ)」とやり取りしながら一時間ばかりを楽しく過ごし、来週またねと宿題と一緒に送り帰す。
ところが翌週来た時には何もかもすっかり忘れていて、また最初からやり直し。初めてのことは簡単には覚えられないし、忘れては覚え直すというのは学習の基本だから、特に不思議でもないと思っていたのだが、どうもそればかりではないようだ。
「宿題はいつもここに来るちょっと前にやっているだけよ」とお姉ちゃんに暴露され、さよならと家に帰ったあと、次の週のレッスンまで全く復習していないことがバレてしまった。どうやらRちゃんにとってここでのレッスンは、お勉強ではなくお絵かきやゲームと同じお遊びらしいのだ。
楽しい遊びはいろいろあるのだから、同じ遊びを毎日やる必要はないということなのだろう。「知らない言葉を、読んで書いて覚えて使えるようにする。そのためには毎日繰り返すのよ。毎日お勉強」と言うと「毎日はできない。土曜、日曜はスポーツクラブの日。残り5日の2日だけでいいでしょう」「ダメ、毎日」
こんなやり取りが続いて、それからは毎週「これ、水曜と木曜にやった」と2日分だけのノートを見せる。小さい割には自己主張がはっきりしていて、かつ頑固。お姉ちゃんとも対等にわたり合っている。
「I love my sister ○○.(○○お姉ちゃん大好き)」と教えると、お姉ちゃんが「I don’t
like my sister R.(Rちゃん、嫌い)」とふざけるものだから「I don’t like my sister ○○.(○○お姉ちゃん、嫌い)」と言い返し、これが姉妹のやり取りの定番になった。
こんな状態がしばらく続いたある日、Rちゃんが勢い込んでノートを見せた。「毎日2ぺージずつやった。これは月曜日、これは火曜日…」思わず「Good !」と叫んで頭をなでた。
どんな心境の変化があったのか、お母さんの一言があったのかもしれない。でも、Rちゃんの中で英語のレッスンが、遊びからお勉強へと変わっていったのをはっきりと感じ取れたその日の出来事は、うれしい余韻を私の心の中に響かせている。
(カナダ友好協会代表)
