コラム・エッセイ
お役所窓口は大変親切
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子昨年末から猛烈に忙しかった。受託している若者支援事業は5年目を迎え、業務自体は順調に進んでいるのだが、1年ごとの契約なので、更新のため毎年企画書を作成し、審査を受けなければならない。言うなれば、毎年、入学試験、入社試験を受けているようなものだ。
忙しいのは必ずしも悪いことではない。何もしないでいると心の中を覆いつくすような思いを、ひと時、忘れさせてくれる。しかし忙しすぎると、普通の思考力までおかしくなってくるから、これは心身ともに良くない。そして、とうとうその状態に陥った。
この事業はカナダ友好協会のNPO法人JACFA(ジャクファ)が運営しているのだが、そのJACFAが新たに認定NPO法人の資格を得ようとしていて、その申請期日が事業企画書の提出時期と重なってしまったのだ。
さすがにこれは自分一人の手に余る。かと言って、周囲のスタッフは日常実務と企画書づくりで手いっぱい。とても認定申請まで手が回らない。こうなると動員対象はただ一人、うたごえ・カラオケざんまいのわが連れ合い。切迫した窮状を切々と訴え、申請手続きを記した分厚いガイドブックを手渡し、お願いねと伏し拝んだ。
とは言え、彼にとっても初めての作業。いくら拝まれてもすんなりとできることではない。ガイドブックを眺めながら、四苦八苦している。そこで、こんな時はわかる人に聞くのが一番と、所轄のお役所の申請窓口を訪れた。
お役所というと厳めしい、高いところから見下ろす態度を想像しがちだが、日本のお役所は大変親切だ。最近、世間をにぎわせている大阪の学校法人を巡る関係官庁の異常な物わかりの良さに「親切なお役人」と皮肉交じりの表現がされていたが、この表現自体は、私には素直に受け取れる。
日本のお役所の窓口は本当に親切。もちろん申請者のために法をまげて便宜を図ったり、法外な値引きで国有財産を払い下げてくれたり、インチキ書類で補助金をくれたりは異常だが、何もわからぬ哀れな申請者には、手取り足取りの懇切丁寧さで対応してくれる。
何と、申請書類のデータの数字まで手計算で確認し、間違いまで訂正してくれた。おかげで無事、期日内に申請を終えることができた。
今回に限らず、これまでも、さまざまな申請や登録手続きでもほとんど窓口担当者の懇切丁寧な指導のお世話になっている。一般に語られるお役所のイメージと実際がなぜこんなにかけ離れているのか。日ごろ近づくことが少なく、長年のイメージ先行のためなのか、お役所のPR不足のせいなのか。
民営化後の郵便局窓口の丁寧さとともに、お役所窓口の親切さはもっと評価されていいと思う。
(カナダ友好協会代表)
