コラム・エッセイ
マイナカード
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子マイナンバー制度開始以来8年。便利になるよと鳴り物入りで取得を呼びかけられ、数兆円とも言われる費用をかけて推し進めてきたのに一向に普及せず、国家的お荷物になるのではと眺めていたマイナンバーカード交付。
それが昨年から申請数が爆増し、あっという間に普及率70%超えの勢いと伝えられている。
何を隠そう我が家でも、わが連れ合いが遂に昨年末申請し、保有者となった。
2万ポイント付与期限ギリギリの申請だから、餌に飛びついたのだろうと誰もが思うが、本人に言わせると「そうではない。あの人が、カードがないと健康保険を利用できなくするぞと吠え立てたから」「これから恐らく生涯、毎月保険証が必要なのだから、カードがないと病院に行けなくなるのは困る」「あの人は大臣としての資質はともかく、言いだしたら、とんでもないことでもやり出す人だから、健康保険証を廃止するというのは本気だろう。ポイントにつられたのではない」と懸命の言い訳に努めていたがともかく期限内に申請取得したカードを、いつなくすかと周囲の監視を受けながら保険証ととり変えて大切に使っている。
そして起こったのが、案の定と言うべきか、なぜこんなことがと驚くべきか、カード入力ミスによる数々のトラブル。この事態をあの人はTVカメラの前で「あれは作業現場のミス。制度上の問題ではない。」と平然としている。
ワクチン接種1日100万人の難題をやり遂げた俺様だと、乗り切りに自信満々なのだろうが、恐らく多くの庶民が心配しているのは制度の問題よりももう一つのこと。個人情報の大量漏洩だ。前例はいくつもあるのだ。
原因・言い訳は色々だが、民間に限らない、国家機関でも実例はいくつもある。言い訳をいくら聞いても何のつぐないにもならない。今起こっているとんでもないトラブルを、あれは現場の下々やポイント欲しさの申請者の問題だと言い張る姿勢は、この人達に制度運用を任せて大丈夫だろうかとますます疑わせ、大規模情報漏洩や悪意の運用などが起こっても、結局これまで同様うやむや無責任で終わるのだろうという予見とあきらめが頭をよぎる。
政治にとって一番大切なものは国民の安心。それを支えているのは制度と為政者、立法と行政への信頼だ。一番大切な政治への信頼を危うくする要素を更に増すことにならないよう、この人の今後の奮闘努力を期待したいのだが「マイナンバーカード情報大量流出」のニュースが第1面を飾ることのないよう、心から祈る。
(カナダ友好協会代表)
