2026年05月02日(土)

コラム・エッセイ

改憲宣言に思う

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 制定70年目となる今年の憲法記念日。例年にも増して前のめりな改憲宣言がなされた。改憲の機は熟した、第9条を改訂した新憲法を2020年に施行すると見得を切ったその心中は、心地よい緊張を伴った充足感に満たされていたことだろう。

 結党以来、党是として掲げながら、前人が成し得なかった偉業を、自分が実現しようとしている、その高揚感は他人の想像を超えたものだろう。だが、この改憲宣言、さまざまに疑問が湧く。なぜ改憲しなければならないのか、機が熟しているとは全く思えないからだ。

 中身に触れない改憲論としては、制定以来70年、一度も改訂されておらず、時代の変化に対応できなくなっている、また現行憲法はアメリカの押しつけによるものだから、日本国民の意志に基づいたものに変える必要があるというものがある。

 そんな考えが起こることは理解できるが、それは改憲の理由にはならない。現行憲法の前はどうだったか。大日本帝国憲法、いわゆる明治憲法は1890年制定で、現行憲法の制定まで足かけ57年間、一度の改訂もなかった。70年よりは短いが、それほど変わらない。

 だから、現行憲法についてだけ、制定後時間が経ったから変えなければならないということに正当性はない。

 明治憲法草案は一部の政権担当者と官僚によって作成されたと伝えられている。制定当時、かなり活発に起こっていたという、憲法制定への民意を無視しての、権力者による押しつけということだ。民意を反映しない押しつけだという理由で現行憲法を改定しなければいけないという根拠は薄弱になる。

 改憲の必要を唱えることをタブーだとは思わない。だが、十分な議論が必要だ。

 ここをこのように変える必要があると問題を提起し、反対意見を説得し、意識を持たない人を議論に参加させ、十分な納得を得るという手順を踏まないまま、数の力を背景にあれこれ手練手管を使い、ともかく改憲という事実を作ろうとするやり方は、改憲が「しなければならないこと」ではなく、「したいこと」に過ぎないのではないかと思わせる。

 権力者が「しなければならないこと」を忘れ、「したいこと」を実現するために「してはならないこと」をするとどうなるか。もの言わぬ国民がもの言えぬ国民になり、やがて再び悲惨と辛酸を味わうことになる。

 まずは時間制限のない国民的議論を。少なくとも、オリンピックに間に合わせるのだなどと、馬鹿げたことを真顔で言うことがないようにと、心から願っている。

(カナダ友好協会代表)

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