2026年06月22日(月)

コラム・エッセイ

居場所づくり

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 前政権の置き荷物のような「異次元の金融緩和」をまだまだ続けるぞと日銀新総裁が宣言したところに、それではこちらも負けずにとばかりに現政権が張り上げた「異次元の少子化対策」の声に合わせて発足したこども家庭庁。ここを拠点に国の将来を危うくする少子高齢化対策、中でも少子化対策を強力に進めようという気持ちは伝わってくる。

 結婚への意欲を低下させてしまう現在将来への社会不安、結婚しても子どもを産み育てる気持ちを抑えてしまう育児・教育への負担の大きさなどが指摘されていて、これらを払拭して結婚数、出生数を増やすための異次元の施策が図られていくのだろう。

 少子化がなぜ国の将来を危うくする大問題かと言えば、社会を動かし支える活動、特に生産活動の中心となるのは人の力だから、誕生し成長する子どもの数が少なくなればやがて社会は動かなくなり、消滅してゆく。世界中が目の色変えて取組んでいる地球温暖化防止・二酸化炭素排出削減よりも大きく深刻な問題だ。

 ところで、社会を動かす力の減少の問題は子どもの数が増えないことばかりではない。

 社会活動に参加出来ないでいる若い世代が増えていて、少子化と同じ問題につながってくるから、この若者達が社会活動に参加出来る仕組みを整えることが、異次元の少子化対策には当然含まれなければならない。

 発足した子ども家庭庁でも早速対策に取組んでいて、その一つが居場所づくりだ。学生や失業者でなく就労していない若者(無業若者)の多くは周囲との人間関係をうまく作れず、いきなり職場に入って馴染むことは難しい。

 そんな時、自分の部屋から出て気楽にゆける場所(居場所)があれば社会活動に参加する前のウォーミングアップができて社会参加も容易になるだろう。無業若者の社会参加促進には居場所づくりだと有識者が集い、当事者である若者たちへのアンケート調査もして、居場所に求められる三要素を「居たい」「行きたい」「やってみたい」と整理している。

 もちろん利用者にも提供者にも安全・安心の保証が大前提で、その上でこんな要素を満たす場所があればきっと居心地がよいことだろう。

 だが、何となく腑に落ちない感じがする。居場所は気晴らしの場所とは違うし、居心地良くていつまでも居るための場所でもなく、いつか、いや、できるだけ早く出て行くためのものでもあるはずだ。

 自分の状態を変えたいと思っている無業若者にとって有益な居場所とは居心地良いことよりも状態を変えるための行動につながる情報が得られるところだと思う。

 ここではここまでにして、いつか機会あれば三要素をまとめた有識者の方々とこんな議論もしてみたいと思っている。

(カナダ友好協会代表)

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