コラム・エッセイ
日本の印象
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子今年87歳になったカナダの作家ジョイ・コガワさんからメールが届いた。
日本流に言えば米寿に近いお歳でつい最近新作を書き上げたとのことだから、今春傘寿を祝って、夫婦揃ってよくここまでたどり着いたと後振り返る心境にひたっていた自分達に、まだまだ休むのは早いと発破をかけられている思いがする。
伴侶に先立たれ子ども達は独立したあと、カナダを拠点に創作活動を続けていたが、今はタイに住む息子のゴードンさんが高齢の母の一人暮らしを心配して呼び寄せ、同居しているらしい。今は亡き息子を生前ことのほか可愛がってくれていて、7周忌となる命日の墓参に来日するという連絡だった。
高齢のジョイさんを気遣ったゴードンさんに付き添われてバンコクから到着する二人を福岡空港に出迎えた。久しく訪れていない空港施設は古い記憶とはかなり様子が変わっていて、その上国際線ターミナルはまだ終わらぬ改装工事中で面食らうばかり。
手間取った荷物受取りを終えてようやく出会えてもレストランも見当たらず、昼食の場所を求めて疲れた足で地下道を歩き回る有様。ようやくたどり着いた店で軽い昼食をとりながら、本当に久しぶりに再会したジョイさんと、30年以上前に一度会った記憶だけのゴードンさんに、お互いすっかり変わった夫々の今に昔日の思い出を重ねながら挨拶を交わしたが、お疲れのご両人には休息を優先し、その後は長話は控えて早々に宿泊所に見送ることとした。
墓参の当日。折角のジョイさんの来日で、もう再び会える機会もないだろうからと、カナダ友好協会が続けてきた日加交流活動を通じてジョイさんとゆかりのある方々を招き、カナダ日系移民史に造詣が深く、若手記者時代から長いお付き合いのある地域新聞の特別編集委員Sさんのジョイさんへのインタービューを含めた懇親会を催した。
絶え間なく続く思い出話や現在の活動の紹介、平和への思いなどに笑顔で答えながら疲れも見せず語るジョイさんに、傘寿が米寿になってもあのようにありたいと力づけられる。語られた言葉の数々はSさんがどこかで発表してくれると楽しみにしている。
それはさておき、懇談の中でゴードンさんが語った、この数日で得た日本の印象が「そう言われればそうね」と思ったり「そんなことが?」と意外だったりしてなかなか面白かったので、こちらを紹介したい。
「街がきれい(ゴミなど落ちていない)」「人が大声でしゃべっていない」「人の振る舞いが穏やか」「駅前に人が多いのに、喧嘩していることがない」「人がぶつからずに歩いている」「レストランが、どこに行ってもおいしい(同じ味で出てくる)」何か誇らしい気がしつつ、この後訪れる大阪や東京でも同じ印象を受けるか、怪しい気もするが、次もまた同じ印象が語られるように大切にしたいものだと思う。
明日は大阪に発つお二人、元気でいい旅を。
(カナダ友好協会代表)
